次の東芝? 神戸製鋼の不正で証明される日本製造業の限界

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まずは神戸製鋼の不正行為の概要をさらっとおさらいしてみます。

神戸製鋼は日本では中堅の鉄鋼メーカーです。

 

日本国内には新日鉄住金JFE等の巨大鉄鋼メーカーがおります。

世界を見てみるとアルセロール・ミタルポスコの様な超巨大企業がひしめいているわけです。

鉄はその昔は日本の製造業の原点として取り沙汰されていましたが、今や汎用的な鉄などはどこの国でも簡単につくれます。

 

中国企業が世界の約半分を生産していることからもわかる様に、安くて大量に必要とされる商品=すなわちコモディティ化している商品を作っているのが鉄鋼メーカーです。

 

さて、典型的なコモディティ型企業である神戸製鋼は冒頭で述べたように、中堅の鉄鋼メーカーです。

コモディティ型企業が直面する課題としては、大規模化する世界各国の企業と戦うために、自分も大企業連合に加わるか、付加価値の高い、自分たちにしか作れない商品を開発するかの二択です。

 

んで、神戸製鋼は後者を選びました。すなわち付加価値商品を作っていこうと決めたわけです。

 

KOBELCOというのは神戸製鋼多角化の中で進めた建機事業にて生まれた建機メーカーです。

 

これだけ見ると、なかなか優秀な経営をしているなぁ。と実は僕も新卒で就活をするときに、キャタピラ三菱やコマツなどと横並びで面接に挑戦するか悩んだ程です。

(今から考えると採用に進まずに本当に良かったと思います。)

 

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さて、今回の不正はまさに神戸製鋼の稼ぎ頭である、アルミ・銅事業で行われました。

高付加価値=お客さんが信頼して高い金額を払ってくれる商品

で嘘をついて不正に商品を売りまくっていたわけですね。

 

例えばこれが赤字ギリギリの鉄鋼事業であれば、これを機に鉄鋼事業をたたみます!みたいな宣言をして、鉄鋼メーカーから高付加価値の特殊鋼メーカーに生まれ変わることもできたでしょう。

しかし、不正を犯してしまった事業部はまさに神戸製鋼の未来を背負って立つと期待されていた事業部でした。

 

まずはこの不正が日産の検査無資格者による検査などとは比較にならないほど重いことだという事を強調しておきます。

 

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さて、この神戸製鋼の不正は私も度々ブログの中で主張している、日本製造業の限界を象徴しています。

djoo.hatenablog.com

 

別に神戸製鋼だけではなく、どこの日本的大企業も限界を迎えています。

 

限界。というのは、

・安くて高機能な商品を設計開発

・世界のニーズを組んだ先進商品の市場投入

・ホスピタリティあふれるアフターサービス

・何重にも繰り返される品質テストを突破した高品質商品の提供

・使えない部署を抱えながら

・使えないおじさんを雇いながら

・無駄なルールや慣習を守りながら

続けることです。

 

なので、神戸製鋼東芝の様なことはこれからもどんどんと起きていくわけですが、大事なことは、

・意義のある事業のみに投資をする選択

・不要なものを切り捨てる

ことです。

 

神戸製鋼の不正は神戸製鋼自身が発表した事にまずは大きな意味があります。

すなわちそれは、

もう限界っす。

という、世の中への敗北宣言であるということ。

 

次はどんな大きな会社が敗北宣言するのか非常に楽しみですね。

 

自分の会社が敗北宣言をする前にさっさと抜け出したほうが精神衛生上良いでしょうね。

おじさんの、おじさんによる、おじさんのための会社

ホリエモンがフジテレビを買収しようとした時に、「会社は誰のものか」という議論が活発になりました。

 

従業員のもの

株主のもの

社会のもの

 

一番シンプルな理屈で言うと、株主のものであると私は思っていました。

 

しかし!

実際に企業に入社して働いてみると

「株主のものに見せかけて、会社にいるおじさんのため」

に会社は運営されているんだなぁと最近は考えを変えています。

 

 

 

 

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  • 1.雇用を守ることが大事

Microsoft を創業したビルゲイツwindows で儲けまくっていた時、市場で windows のソフトウェアに仕事を奪われた人が彼を批判したことがありました。

しかし彼が言ったのは windows を作るため、売るために創立された雇用の方が windows によって失われた雇用よりも大きい。

つまり労働者の総量は windows が発売された後の方が大きいと彼は反論しました。

 

要するに時代についていけなかった不要な人たちがただ切られただけだったわけです。

その至極当たり前の理屈はその当時の大衆にも受け入れられ、今ではパソコン自体を批判する人など全くいません

 

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この様な理屈で考えると大企業が存在意義として高々に訴えている雇用の創出と言うのはとても意義のあることです。

しかし日本の大企業が行っているのは、雇用の創出ではなく雇用の維持です。

雇用の維持と言うのは、今まで雇い入れた人達の首を切らないこと。

もしもその人が企業の利益に1円も貢献していない不要な人だとしても、給料を払い続けるために会社を維持すること。

これが雇用の維持です。

 

いわゆる窓際族とか相談役とか顧問とか全く仕事をしていない様なおじさん達を高給で雇い続ける。

 

前者ビルゲイツがやった様に時代を先取りし本当に人々から受け入れられる便利なものを開発販売し、世の中を豊かにしていくその過程で構造調整が起こる。これは雇用の創出の良例だと思います。

一方でいつまでたってもパソコンを使えない様なおじさん達に年収1000万2000万払って上の機嫌ばかり伺わせる仕事をさせている日本の大企業は本当に世の中に価値の有ることをしているでしょうか?

 

  • 2. 総花的な経営が良しとされる

一つ目と重なりますが、雇用を守ることと同時におじさん達のプライドも守らなければいけないのが今の大企業。

50歳60歳になっても役職がないと言う人はあってはならない。

 

そしてその上の人たちもそういうことがない様にさらにその上の人達にケアされてきていました。

どこの部門のどこの部署のどこの部のどこの科の人もその年齢に見合ったひとっぽく他の人に見られるように会社は頑張っています。

部長代行とか子会社に役職をいっぱい作ったりとか、そういったことをやってどうにかあぶれている不要な人たちの役職を作るんです。その人のプライドを傷つけないように気をつけます。

 

この結果どうなるかと言うと本当に力がある人力と力がない人の差は認識されず、若年層も会社の利益を1円でも上げるために頑張る必要なんてないと合理的に判断するのです。

そんなことよりも上の人たちに嫌われないことが大事。

そういう風に大企業は運営されています。

 

もう一つ大事なことは関係会社またはパートナーそういった人たちとの今まで築き上げてきたネットワークや既得権益を守ることです。

今まで頑張ってきたおじさん連合にご褒美を与えなければいけません。

日本の大企業は結局のところ、将来給料をあげるから若いときはとにかく頑張れ。という暗黙の了解の上に成り立っています。

だから、若い時にがむしゃらに働かせた今のおじさんたちに報いなければいけない。

それは今まで一緒に頑張ってきたおじさん世代の共通の認識ですし、彼らには仲間意識がある。

だから、大企業からなる子会社や関連会社連合はかなり真剣に不要な事業を存続させることを頑張っています。

古い技術、誰も見向きもしない様な商品サービスであったとしても、どうにかそれを守らなければいけない。

なぜならそれを今まで育ててきて今でもそのために働いているおじさんがたくさんいるから。

 

 

不幸なのはそのおじさんの下で働いている若い人たち

絶対に不要だとわかっているものを、おじさんの下に配属されたがために一生懸命売らなくてはいけない。

要するにおじさん達のために必要のないものを社会に対して売っているのです。

 

  • 4.定年までは。。。

最後に日本にある定年制度と言うのもこのおじさんたちのにとってとても大事な制度です。

今50歳のおじさんはあと15年会社が存続してくれればとりあえず ok。

自分の給料、退職金が大事。これ、おじさんでなくても誰でも当たり前ですよね。

 

もちろん企業年金の額とかそういったものは将来の企業の業績に大きくよるわけですが、おじさんは今の自分を守ることしかやったことがない人たちなので、そんな先のことを変えるなんてそんな考え微塵もありません。

 

これは別に部長と課長の中間管理職だけでなく、社長もそう思っている。

だから10年20年後を見る必要なんてないんです。それっぽいことを決算報告では発表しますが、ツッコミどころ満載だったり、他社と足並みを揃えた報告ばかりが目につくのはこういうこと。言うのは簡単だけどやってみろよ。と社長はいいたいのでしょうが、一番やるのが大変なのは人事系の部分なんです。

 

自分がいる時だけとりあえず潰さないそれが一番大事。

東芝で起きているのがまさにそれ。

粉飾決算の原因となっている売上の低下というのは、10年20年前の経営者がやったことの結果です。

その責任は今の経営者が取らなきゃいけない。

まさに日本の社会保障制度と同じ様におじさんおばさんのために若い人たちが全てそのツケを払う。見て見ぬふりをするということは将来的に全て若い人たちの負担になる。

 

  • 5.残念ながら会社の体質は変わらない。変えられない。

上にあげたことなんて大企業で働いている人はほぼ全員わかっているはずです。

しかし変わらない。いや、誰も変えられないんです。

 

基本的には社長以下経営陣がその会社の人事権を持っていて方針を決定していきます。

しかし、その社長は一個上の社長に選ばれているわけです。ここが民主主義と大きく違うところです。

民主主義の場合は首長市民県民によって投票で選ばれます。

しかし、自分で自分の会社の社長を選べないので、社長に物を申すのは不可能です。

株主の声を大きく反映することができれば少しは開いた会社の経営ができるはずですが、企業秘密等の理由で完全にオープンにすることはできません。

 

つまり一言で言うとどうしようもない(笑)

大企業は大企業のまま死んでゆくんです。

 

もしも東芝の経営陣を刷新して、会社を立て直すという方針をとったら、それは大したものです。

しかしそれはなさそうに見えます。

 

半導体事業の売却だけでも半年以上決定できない、医療事業出身の社長にそんな判断は簡単にできない。

ましてや東芝を再生させるために再生してくれそうな経営者を海外から呼んでくるのも難しいでしょう。

 

東芝の振り見て我がふり直せ、大企業」

 

まあ、無理でしょうけど。

 

  • --結論--

若い方々、そんな会社はすぐやめましょう。

我々には退職という切り札があります。

 

理屈で考えればわかることですが、そんな会社に長くいて、自分達がおじさんになった時にその仕組みが続いているとは到底思えませんよね?自分が定年まで大丈夫そうならそこに居続ける価値はあると思いますが、次の東芝になる可能性はとても高い。

 

長年同じことをし続けている会社は結構危ない。

考え方が凝り固まっていて、自分から東芝状態の回避に走るのは難しい。

 

例えばソニーがいつまでも人気企業であるのはそういう古い大企業的な考え方が比較的少ないと思われているからです。

例えば今の社長、平井さんはもともとソニーミュージックと言う子会社の社員でした。

子会社の社員を親会社の社長にする、そういった人事を日本の伝統的大企業がやりますか??

批判ばかりされていましたが、過去にはアメリカメディア出身のハワードさんを呼んでソニーの経営を立て直そうとしました。

 

ソニーが優秀なのは社長を選ぶ考え方が市場に近く合理的なところです。

武田薬品工業のウェバーさんも海外から呼ばれて、ポンッとCEOになってますね。

 

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こういった話を続けていくと最終的には志の高い経営者や企業理念が大事となります。

社長が、自分がいた間に少しでも会社を良くしたい 後世に残る様な業績を残したい。そういう風に考えている社長かどうかが大事ではないでしょうか。

 

志高く社会に対して何か自分が良いもの残したいそう強く考えている下の人の下で働いていた方がきっとストレスフリーに楽しく仕事ができるんではないでしょうか。

 

おじさんたちのために頑張っている若い方々、本気で考えないとあと10年もしたらあなたの市場価値はなくなります。あなたの隣にいるおじさんのように。

 

その前に飛び出すことをお勧めします。

日本とアメリカのミーティング資料の違いから推察する、日本人経営者の経営センス

アメリカと日本ではミーティングの進め方というか目的が違うように感じます。

 

そのミーティングのあり方の違いから両国の経営者の経営的なセンスの有無を推察してみます。

 

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日本企業でのミーティングの目的は

1.情報共有

2.分析結果共有

 

が主なものであるような気がします。

 

問題解決のためのディスカッションやアイディアの出し合いがアメリカ的なミーティングの目的であることと大分異なるようです。

 

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日本は反省や恥の文化が企業にも染み付いています。

 

失敗をしたら周囲に対して恥ずかしい、申し訳ないという気持ちでいっぱいになります。

上司に迷惑をかけた。上司はそのまた上の上司に迷惑をかけた。。。。

 

こういったループがあるので、絶対に失敗は許されない。というような企業文化を持っている会社も多いでしょう。

とりわけ、挑戦よりも現状維持を重んじるような大きな伝統的企業ではその色味は強くなるはず。

 

余計なことするな。的な発想ですね。

 

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分析的なミーティングにも価値はもちろんあります。

 

プロジェクトの日程が遅れたら、どれくらい遅れ、原因は何なのかを事細かに説明する。偉い人が参加する公式なミーティング = 情報共有 の場なので、ドキュメントも凝りに凝っています。

5枚程度の本スライドの裏に、膨大な数の補足スライドを準備し、何を聞かれても滞りなく答えられるようにしています。

ミーティングのための、ミーティングも数々開催され、レビューや資料の修正はもちろん、事前に役員のプロジェクトに対する心象なども余念なくチェックしておきます。

 

そうすることで、ミーティングを滞りなく済ませるのです。

 

その目的はただ一つ。

役員に悪い印象を与えないためです。

 

これらのことに膨大な時間をかけたからと言って、根本的にプロジェクトの進捗が加速することはありませんし、増してや企業の利益は1円も増やしません。

というか、高給サラリーマンの給料のみが積み上がるため、経費ばかりかかる赤字の仕事です。

 

 

しかし、伝統的日本の大企業ではこれはとても大事なことです。

 

なぜかというと、役員に気に入られなければ自分の出世などありえません。

部長、室長、課長、それぞれの評価基準は、こいつを上に上げたいと上に思ってもらえるかどうか。これのみ。

やりにくかったり、考え方が合わなければ、決して自分の部下として引っ張ることはありえない。

 

何度もいいますが、日本の優秀なサラリーマンはこういう事にとことん長けているひとが沢山います。

 

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さて、うえで、少し触れましたが、プロジェクトを成功させるためには、できれば、状況説明や原因分析ではなく、これからどうするの?という話を集中して詰めていきたいところです。

 

もちろん、分析の結果を反映した、既定路線のアクションプランは存在しますが、そのアクションプランもプロジェクトに効果的であるというよりは、役員に好印象な方が大事です。

 

こういった構図で開催されるミーティングで、あいつは良い!と言われるひとがドンドンと上に上がっていきます。

 

そしていずれは役員や社長になるんですね。

日本企業で生きているサラリーマンの鏡のような出世が待っているわけです。

 

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さて、話は変わって、経営者に求められるものはなんでしょうか?

経営者は株主や社会に対してちゃんと会社を経営するということを求められています。

 

[ちゃんと]、というのは、今期、四半期の業績だけではなく、将来、十年とか二十年先を見越した将来の成長分野への種まきも含まれます。

 

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しかし、経営者各人は、もともと優秀だった平サラリーマンであるわけです。

彼らの得意技は[上のひとに好感を持ってもらう資料作りや方針提示]です。

 

しかし、経営者となった今、彼らの上の人はもういません。

社会に対して価値を提供することが彼らの仕事になりました。

 

(一体、誰の顔色や好みを伺えば良いんだ。。。。)

そんな風に不安になるのも無理はありません。

残念ながら今まで彼らはそういった考え方で仕事をしてきませんでしたので。

 

こりゃ参りましたね。

 

彼らは社長になって、お金と肩書を手に入れ、ハイヤーとかファーストクラスとかで移動して、会社の金でゴルフしたり美味しいものを食べるのが目標だったので、まさか社長として未来の世界にどうやって価値を提供していく会社にするか、なんて考えていませんでしたもの。

 

でも安心してください。

あなたを社長にした、今の会長も、その上の名誉会長も、その上の顧問もみんなそんなもんです。

あなただけが社長不適格者なのではなく、みんな不適格者だったのです。でも、今までなんとかやってきました。

 

だって日本にはものづくりの技術やおもてなしの精神、勤勉で豊富な労働力があるんですから!!

(と言われ続けた20年間に日本の総GDPは大きくなっていなくて、SANYOとシャープとJAL東電が経営破産し、東芝が瀕死で、トヨタは水素を愛でていました。)

 

万が一会社が傾いても安心してください。

国や銀行が大きな会社は潰しません!

もし潰れても、あなたはちゃんと退職金や企業年金をもらって生活できます!

 

そんなことよりも、今までと違うことに挑戦して失敗し、社長をクビになるのだけは避けないと!せっかく今まで40年間も頑張ってきたんですから。

 

今までと一緒。

他社と一緒。

自分の任期中に業績を大きく下落させない。

これだけを考えましょう。

 

10年後に会社がどうなっていようと知ったこっちゃないですね!!!

 

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と、僕は日本企業の日本人社長にこんなひとが一人や二人、もしかしたらもっとたくさんいるのではないかと推察するのでした。

 

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投資 僕が日産の株を大量に購入した理由

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カルロス・ゴーン社長率いるルノー日産グループがEV会社への転換を大々的に発表しました。

 

これによって日産の株価も少し上昇。

日産株をそれなりに持っている僕としては嬉しい事です。

 

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さて、皆さんよくご存知のように今、自動車業界は大きな大きな変革の真っ只中にあります。

 

日経新聞の記事でもわかりやすく説明されていますが、エンジンから電気へ動力が移り変わることを始めとして、運転手のいらない車、インターネットとつながっている車、自家用車からシェアする車。

 

要するに今までの企画設計の概念では太刀打ちできない。

 

日本にはトヨタ自動車という国家とも言っても過言ではないような馬鹿でかい会社があります。

 

本文では投資対象として日系の自動車会社を比較した時に、なぜトヨタではなく日産なのか?という点を書きます。

 

引っ張ってもしょうがないので結論から書きますが、既得権益や参入障壁にどれほどのこだわりがあるか。という点が一番大事です。

 

トヨタはつい数年前まで、水素社会が来るということを本気で信じていたようです。

いや、本気で信じているようにアピールすることで世の中をそっちに引っ張りたかったようです。

 

水素で走る自動車の環境性能とかその辺の話はおいておいて、この発表を見た時に、ああ、トヨタだめだな。と思いました。

 

なんでかって、水素自動車をトヨタが作りたい理由が、まさに既得権益を守るため、そして天下を取り続けるための参入障壁を作るためだと世界に発信してしまったからです。

 

この発表を見た全世界の人や企業は、トヨタトヨタ一グループで頑張ってね。もう、あそことはかかわらないほうがいいね。と思ってしまったでしょう。

 

そう思わせてしまったことでトヨタは既に負け戦に一歩前進。

 

日経新聞の記事でも触れられていますが、今の自動車産業を引っ張っているのはトヨタでもVWでもGMでもない。

Googleやテスラ、あとは今は名もない中国企業なんです。

 

彼らがこれからの王者になっていくのに、パートナー、または下請け会社になるべく車両提供会社の一つであるトヨタがあんなに協力的でなく、古い考え方であると発表してしまったら、そりゃもう誰も声をかけてきません。

 

トヨタの偉い人は、トヨタが水素と言ったら世界中が水素になるんだ。と裸の王様のような考え方だったのでしょうね。

これからの自動車産業をひっぱるつもりでもあったのでしょう。とんだ勘違いです。

 

例えば、PCの製造業界を見てみます。

今の時代、どうしても富士通のFMVがいい、とかNECバザールでござーるがいい。っていう人なんていないでしょう。

 

それよりも僕らはなにでPCを選ぶかという、

・OS

・CPU

・メモリ

・画面のサイズ

まあこんなところです。

希望のスペックを満たしていれば、あとは価格勝負。

 

一部の人は、Mac Bookのようなデザインを重視するという人もいるでしょうが、大半の人にとっては安くてそれなりに使えればそれでいいんです。

 

あとは、ネットに繋いでそれらのコンテンツを楽しむ。

 

Amazonで買い物したり、Google MapやGmailを見たり。

だからそれらにアクセスするハードの最終組立メーカーなんてはっきり言ってどうでもいい。

 

自動車もこれと同じことが起きているのに、トヨタは未だにそれに気づいていないのか、気づいているけど手遅れなのか、それとも意味の分からない誇りがあるのかわからないけど全くその姿勢を見せない。

 

これからの車で見られるスペックは、

・サイズ

・自動運転のOS

・価格

・モーターの種類と製造メーカー

これがメイン。

 

一部のコアな車ファンはMac Bookのようなデザインが優れている車を買うでしょう。

でも、世界中の誰もがトヨタのデザインが一番!なんて思っていません。

欧州の老舗ブランドメーカーにはブランド力もデザインは完敗。

せいぜいLEXUSブランドの一部車種で対抗できるかな?程度ですね。

 

トヨタというブランドが高級路線のアップルのようにはなれないのは自明。

なので、PC業界でいうと、HPとかIBMみたいにならないとね。本当は。IBMLENOVO中国企業にパソコン部門を売ってしまったから、むか~しから残っていてまだまだ頑張ってるのはHPくらいか。

DELLは比較的新しいし、今は殆どがASUSとかACERとか台湾企業ですもんね、PC組み立てって。

 

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日産はこれらのことをよくわかっている。

それはカルロス・ゴーンが日産に対してただの日本のハード供給会社というとてもいい意味でドライな考えを持っている人だから。

別に日産でも三菱でもルノーでもなんでもいいけど、人やものを効率よく安全に運ぶ、というサービスを提供するために何をしなくてはいけないのかを常に考えている。

 

彼にはトヨタが持っているような既得権益最高!

完成車メーカーが一番えらい!

みたいな考え方はありません。

 

時代に合わせて、自分が世の中に提供したい価値を、最適なリソースで実現してやろうという意気込みと覚悟を感じます。

 

カルロス・ゴーンなら日本の日産関連の下請けをバッサバッサと切っていけるでしょう。

 

参入障壁の本当の意味をよく理解しているはずなので、技術的に難しいものを作るのではなく、新しい自動車産業の王者たちとの友好なパートナーシップを築くとともに、車両供給下請け会社として輝くためには何を真の参入障壁と考えるべきかわかっている。

記事の中では規模のメリットを活かす。と断言されていますね。

 

アメリカから輸入した車をせっせと分解して効率よく品質良く作り始めることで始まった日本自動車産業の栄光は2018年からは政治経済ではなく日本史で勉強する話になります。

 

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今までの自分達の栄光をあっさりと否定し、今、真に世の中に必要とされているものを真摯に提供しようとする姿。

そして姿勢が将来のトヨタと日産の業績を大きく左右することになります。

 

トヨタが今後EVに本格参入するとしてもトヨタ一社じゃ何もできないことは明らかです。

どうやってパートナーシップを作っていくか。これが大事。

 

でも、水素社会!とか本気で信じていた、トヨタのトップ陣が、創業十数年のアメリカの新興企業に頭を下げて、うちの車両を使ってください。なんてできるんでしょうかね。

 

鉄は国家なり。

 

とか言ってた元国営会社みたいに、みるみる存在感がなくなっていく気がしてなりません。

 

頑張れ!トヨタ関連のエンジンまわりの技術者の皆さん!

逃げ出すなら早いうちに!

 

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家具家電を処分しながら中古品とかひとの消費活動について考えた。結論:EXIT戦略ありきの消費が必要。

アメリカからの帰国に伴い家具家電のガレッジセールをやりました。

お陰様でほとんど売れまして、残すは小物のみ。

 

さて、今回の経験で感じたことを何回かに分けて書きます。

 

結論としては、とてもいい経験になり、是非ともみんながやってみるべきだ。と思いました。

 

とてもいい、というのはこの経験があったために、商売ってこういう感じなんだと疑似体験でき、更に消費者としても少し賢くなったと思うからです。

 

 

・日本は中古品に対する嫌悪感がある

まず、アメリカでは個人売買がとても盛んです。

今でこそ日本でもヤフオクやらメルカリなんかが流行っていますが、アメリカではガレッジセールという文化がそれこそ何十年も前から根付いています。

 

日本もバザーっていうのがありますが、あれは個人売買と言うよりは、寄付に近い気がします。

 

そういう文化もあってか、アメリカでは中古品の値段が日本と比べて高い。

 

だから結構いい値段で中古品が売れる。

 

車なんかがいい例で、新車を買うのは金持ちです。

でも中古車だってそんなに思い切り値崩れしていない。

 

アメリカは新品か中古かというAll or Nothingではなく、そのものがもつ機能が生きているかどうかにフォーカスしているように見えます。

 

なんで日本は新品にこだわるんですかね?

新車とか新築とかってめちゃくちゃ割高だってわかってるのに買う。

 

多分これは生命保険に入りまくる日本人の思考と同じだと思います。

日本人はとにかく安心安全が好きなので、

・中古を買って何かあったら嫌だ。

・新品なら安心

・中古の評価を自分の責任でするのが嫌だ。大変だ。

・そのれらの安心のために機能的には全く一緒のモノを3割増の値段で買うのもいとわない。

という感じでしょうか?

 

不動産は最近中古物件に対する鑑定書をつけることで市場の活性化を促しているそうですが、まだまだ新築注文一戸建て/新築マンションに拘る人がいるらしくびっくり。

(djooは23区内に中古で築浅の戸建てを買いました。新築時に比べて1.5割くらい安かったみたいです。)

 

・本だけは特別?図書館の影響か?

そんな中、古本だけはむか~しから中古市場が活発ですね。

多分、その昔は本は高価だったというのがあるでしょう。

また図書館という公の施設が普及しているのもその一因。

 

でも根本的には、本というのはその中に書かれている内容=機能が売り物であるので、買わずとも読めればOKという考え方が根付いている。

 

・所有欲がある。どう使うかではなく、何を持つか

昭和生まれくらいまでの日本人にはまだまだかなりの所有欲があるでしょう。

 

所有欲というのは使ってなくても持ってるだけでハッピー。

機能はしょぼいけど、ブランドを持ってる自分、ハッピー。

みたいな感覚です。

 

こういうブランド志向というか所有欲が日本人には強いので、なんでもかんでも良いものを求めようとする。ここで言う、良い物というのは良い物と世間一般に認められているものです。

 

隠れた名品とかはそういうひとにとっては無価値ですから。

 

・中古市場の不活性は新品市場の不活性に繋がる

さて、こんな感じで日本人のちょっと古い人には、中古はあんまりよくないという感覚が根付いている。

 

まあ実際に昔は中古品ってひどかったんでしょうが、今の時代はそんなことはなくて、車でも家でもスマホでも時計でも家電でも家具でも、状態の良い中古品が溢れている。

 

僕が思うのは、中古市場が不活性だと新品もあんまり売れないのでは。ということ。

 

なぜなら、古いものを買い換える時に、古いものがそれなりの値段で売れると思っていれば新しいものに買い替えやすくなる。

 

だから新しいものを買うときのハードルが下がる。

 

一回買って、壊れるまで使う。のではなく、その機能よりもより良い機能のものが出たら買い換える。ということが可能になる。

 

車だと下取りというのがありますが、それでも大した値段にならないですもんね。

1kmでも走ったら新品では無いんですから。

それでいきなり中古。

 

マンションもそうですよね。

新築は5,000万円でも、住んで1年たったら中古なので4400万円とかザラにあります。

たった1年で600万円ということは家賃50万円/月ってことですからね。

 

これだと一回新築買っちゃったら絶対に売れないですよね。

損切りできない投資家の心理ですね。

 

・中古品が低価格なのは新品の商品企画力にも影響がある

上の話にもつながっていますが、中古品があんまり売れない、市場が不活性だと、新品と言うのは新品というだけで価値があるかのように思われてしまいます。

となると、全く同じ商品でも新品のがもちろん価値が高いし、ほとんど変化のないあたら良いモデルとかも一世代前の中古と比較するとめちゃくちゃ高く売れる。

 

するとそういう商品を企画する側は、

大した差がなくても販売サイクルを早めて、どんどんと自分たちが過去に売ってきた商品を古いものにしよう。

とします。

 

となると、何が起きるかというと、本当に次のモデルにふさわしいような機能の向上や企画の見直しにお金や時間を費やしにくくなってしまう。

 

車なんかは4年とか5年のスパンで販売するというのが結構どこの国でも行われていますが、例えば10年くらい前に流行っていたガラケーなんて、半年に一度新しいモデルが出てましたね。

あんなことをやっているから、しょーもない機能追加とかデザインチェンジに開発コストが取られてしまって、大きな変化を見逃してしまう。

 

だって、携帯電話なんて最も日本人が得意とするような小さい精密な機械なのに、今やAppleSamsungと中国メーカーしかいないでしょう。

 

こういう、大きな流れに乗り切れない。という弊害が企業側に生まれる。

それはもちろん中古市場の不活性だけが原因では無いけれど一因はあると思います。

 

・変わりつつある考え方

でも、最近のひと、というとおじさん発言ですが、はモノに興味がない。

僕は昔から自動車好きだったので自動車いいなぁ。と思っていましたが、大学の同窓生で投資銀行や商社で働いてるひとなんかは、ものなんかいらなくない?常々言っていました。

 

その感覚は昔の僕にはなかったのですが、今やっと彼らが言っていることがわかってきた。

つまりモノ自体には価値がなくなりつつある。

なんでかというと、革新的な商品とかって、モノ単体では達成できなくて、価値を提供する最終的な機械がたまたまそのものであるだけでいろんなものと絡み合ってる。

 

例を上げれば iPhoneがヒットしたのは、あのモノ自体が優れていたことに加えて、WebベースのメールやiTunes、Appstore等、そのものを中心とした一つのサービス提供商品群があるからこそ。

YoutubeやLineが使えないiPhoneなんていらないですよね。

 

だから結局今の人達は、ものはもの。でも得たいものはコンテンツだったりコミュニケーションツールだったりする。

(まあ、日本人のiPhone信仰は世界一ですからまだまだ所有欲というかブランド志向が抜けきっていないのは間違いないですが。)

 

車もそうですね。

カーシェアリングがあっさりと受け入れられた背景には、若い人が車なんかマジで無駄。と気付いたから。

一部のマニアなひととか金持ちが車は買えばいいじゃん。と考えるのが普通だから。

 

家もそうですね。

賃貸だろうが中古だろうが全く気にしないひとが沢山増えるはず。

新築戸建とか新築マンションなんてコスパ悪すぎ。ということにみんな気づくでしょう。

 

今や、ものはいかにシェアするか。がクールなんです。

いかに無駄なくシェアして、全員が買うよりも圧倒的に安く、利便性を損なわないこと。

これが大事。

 

中古品だって、要するに使用タイミングのシェアです。

最初のひとが70%のコストを払って最初の1年使える権利を買う。

んで次の人は30%のコストでその後の1年に使える権利を買う。

 

ものはひとからひとへ流れていくのが当たり前で、シェアされるのが当たり前。

自分が所有できるものなんて殆ど無い。

 

・ものを持たないことの価値を再確認。

 

断捨離ではないですが、ものをいかに持たないか。持つとしても必要なタイミングに必要な分だけ持つか。ということをスムーズにできるかが、消費する側に求められている能力だなぁと改めて実感。

 

ものが売りやすい世の中であってもやっぱりものを売るのは面倒くさい(笑)

値段を決めて、交渉をして、連絡をして、、、、、、

 

販売にかかる労力を考えると10ドルくらいにしかならないものとか捨ててしまったほうがいいのでは?と思います。

 

 

今回の教訓は、ものを買う時に、Exit戦略を立てる必要べきだ。ということです。

不動産とか株のトレードと同じで、

今このタイミングにこの値段でこのくらい買って、何年持って、いくらで処分する。

こういうことを全ての消費活動でしていく必要が求められている。

 

消費財や食品は若干色味が違いますが、家具家電、車、家、マンションなど、形あり、陳腐化していくモノはExit戦略をしっかりと立てないと、

使わない/場所取る

高かった

売るのが大変/処分にお金がかかる

というデメリットのオンパレード。

 

ものはなるべく持たずに、使う分だけレンタルしたり、シェアすべきです。

単純計算すると保有したほうが安いものでもその周りにあるたくさんのデメリットの可能性や面倒を考えてみてください。

 

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ちなみに、この考え方がちゃーんと進めば借金に対する抵抗も薄れていくはずです。

 

なぜかって?

 

一括でお金を払うデメリットまでものの購入は含んでいるんです。将来使わないかも知れないものに対して。

 

もしも使う分だけ使う時にお金を払えれば、その間、お金を運用することも可能です。

 

これは家計では応用辺ですが、企業活動では基本中の基本。

お金をためたいひとにまずやってほしいこと。不用品を徹底的に捨てること。

無駄なモノ買ってしまったーーー。

というのが最も無駄なことなんだなぁと常々思っています。

 

だって、お金を払って、無駄なものを買って、さらにそれを保管する場所代まで家賃のうちの一部として払っている。これは最悪。

 

でもなかなか有用なモノだけ買うってできないですよね。

 

んで、それをするためまずやってみてほしいのが、不用品を徹底的に捨てる。ということです。

少なくとも1年使っていないモノは思い切って捨ててみましょう。

 

かなり精神的にやられる作業ですが、もう二度と不要なものは買わないぞ。と心に誓えます。

 

捨てないとなんか資産としてまだ生きてる感じがするのですが、完全に負債ですよね。

いつか使うかも。という考えを捨て、本当に必要なもののみを買うということが進むでしょう。

マゾな人は結構気持ちいいかもしれませんよ。

 

あーー、2万円もしたジャケットがーーー。

といいながらゴミ箱に投げ込む作業です。(笑)

東芝の凋落は売上減が原因 / 自分の会社が不正に手を染める or 大規模なリストラする前に転職しちゃったほうが無難。のススメ

どこでも言われていることですが、改めて書きます。

 

東芝が潰れかけててぼろぼろな理由は、必要なタイミングに必要無いものをキレなかったことです。

だめになって、だめになって、そんで不正に走っている。

 

もともと不正があった体質なのではなく、もうだめだーーーー!ってなったから不正を始めた。

 

ってことはですね、業績が危うい会社、そして簡単にリストラできない会社は東芝予備軍です。こりゃ間違いなし。

 

その見極め方としては、ずーっと安定している、商品ポートフォリオに変化が少ないグローバル企業です。

 

理由は2つ。

1. グローバルに戦っている市場でずーっと安定なんてありえない。

2. グローバルに必要とされている商品って毎日の様に変わっている。

 

なのに、同じ商品を売り続けて、売上維持とかそれはどこかで無理をしている証拠。

 

 

もう、皆さん気づかれていると思いますが、自動車産業なんて既にかなりやばい状況です。

 

鉄鋼、繊維、電機と様々な産業で業界再編が行われてきた様に、ここ5年のうちに自動車産業には、生き残っていける企業連合 と 不正に手を染めかねない弱小企業の2つが現れるでしょう。

 

三菱の件とかで既にそれが浮き彫りになってきてはいますが、今後はどんどんとそれが進みますよ。

 

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こういう流れの中でまずはじめに貧乏くじを引くのは部品会社の人々です。

 

トヨタとか日産とかHondaとの取引が全売上の7割を超えます。みたいなところは本当にやばいと思っておいたほうがいい。

 

なぜなら日本では、大手企業に対しては政府と銀行が延命措置を講じる可能性が高いけど、下請けとか孫請けはびっくりするほどさっさと切りますから。

 

特にエンジンまわりの下請け会社はあっという間に滅ぶ可能性大です。

 

それは小学生でもわかるくらい簡単な話ですよね。時代が変わっています。

 

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先進国は軒並みエンジン車の販売を停止します。

 

日本はそれに従わざるを得ません。なぜなら資源を持たない国なのでアメリカみたいに独自路線を走っていけるだけの余力がない。

 

環境立国!とか叫んでいるわけで、まさか排気ガスがでる車なんて作らないよね?と国際社会に思われています。

 

むかーしから言われていることでしたが、環境のことを考えるなら、自動車なんか作るな。ということが現実になっているのがここ3ヶ月で起こったフランス、イギリスの宣言です。

 

あの中国ですらEV化を加速しています。

 

これは日本は抗えない確固たる流れです。

 

燃料電池車なんか作っている暇があったらEVのインフラでも整えて置くべきだったのですね。トヨタの暴走を誰かが止められていれば・・・残念。

 

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さあ、今自動車会社や部品会社のエンジンまわりの仕事をしているあなた。

本気で人生考えたほうが良いと思います。

 

年代別におすすめのアクションプランを書いておきましょう。

 

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あなたが60代ならば、そのまま逃げ切れますから大丈夫。自分の会社人生とともにエンジンはなくなったなぁと、哀愁漂う会社人生の最後を迎えられます。企業年金は減るけれど社会保障も破綻前なので贅沢を言わなければ生きていけます。

 

あなたが50代なのであれば、残念ながら手遅れと言わざるを得ない。整備系の仕事に転職したほうが無難かも。今たくさんの仕事を抱えて10年先までのプロジェクトがあるから大丈夫と思っていても、市場がいらないと言えば、そんなプロジェクトたちは速攻で消え去りますから気をつけたほうがいい。

 

40代のあなた、この1年で見切りをつけないとまずいでしょう。自分が50代になった時に、市場規模が縮小している分野に大量の優秀だったひとがひしめき合っている状態です。エンジン技術を活かすのであればせめて産業用エンジン開発にシフトしましょう。

もしもエンジン技術を捨てる勇気があるのであれば、40代前半ならギリギリどっかが未経験として雇ってくれるかも?

 

30代のあなた、まだ新しいキャリアに挑戦するのは全然可能です。速攻で会社を辞めましょう。引き止める上司や部下にはこのブログのリンクを送って、俺は液晶テレビが売れるとわかっている今に、ブラウン管のテレビなんて作りたくないんだ!と電機業界の歴史を挟み、叫んで会社から走り出ましょう。機械の企画開発、設計、実験、調達に絡む仕事なんて山とあります。

もしも今よりも待遇が下がったとしても、会社が不正に手を染めた時に50歳という地獄よりはマシでしょう。投資でいう損切りを速攻で実施しましょう。

 

20代のあなた、もう自分自身で気づいていることでしょう。既にリクナビネクストに登録していて第二新卒や30歳前ならポテンシャル採用、みたいなところを見まくっていると思いますので、それをそのまま続けてさっさと脱出しましょ。特に大学名が通っているあなたならどこでも それなりに選考が進むと思いますから自信を持って。

 

大学生のあなた。自動車会社に入るのであれば、テスラ・モーターズくらいを見ておいた方が無難です。日本の自動車産業に飛び込むのは、水が干上がり始めている池に頭からダイブするのに近い。思いっきり飛び込んだら飛び込んだ瞬間に即死します。

もっと池の水が潤沢にある産業に思い切り飛び込んだほうがいい。

もちろん自動車会社しか入れなかった。的なひともたくさん出てくると思います。そんなあなたも配属では、グローバルな製造業を体感できるような仕事に就けるように頑張りましょう。転職を全く匂わせずにね。大きな会社は忠誠心という意味の分からないものをアピールしないといい仕事をやらせてもらえません。

 

10代の方。自動車は買うものではなく借りるもの、乗っけってってもらうものと強く認識しておいてください。あんなでかくて高いものは基本的には各家庭が買わずにシェアするものと心得ましょう。その上でトランスポーテーションに興味があるのであればそういった仕組みを提供しているIT会社や社会インフラを作る会社なんかもありです。

自動車というものを作る会社を見るのではなく、ひとやものを運ぶ。というものをどうやって実現させてどういう形で自分がそこに参加するのかを考えたほうが良い。

 

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最後に。

 

ここまで強く偉そうに色々書いているのは、自分がそういう状況から脱出したひとだから、自分を肯定したい気持ちがとても強く出ているのです。

 

何も自動車会社の全てが全然ダメだと言っているわけではなく、工場オペレーションやサプライチェーン・マネジメントなどはやはり世界一レベルです。これは間違いない。

 

作ってるものがエンジンかEVかの差が問題でこれは開発設計とか会社の方針を決めるお偉いさん方が無能なだけ。

 

 

将来のことなんてどうなるかわかりませんが、自分が頑張って会社の利益を一円でも高めようとしてきた会社が不正に手を染めたら悲しいはず。

そんな気持ちにたくさんのひとがなるのであれば、さっさと脱出したほうが幸せだと確信しています。

 

知り合いの東芝に勤めているだんなさんの奥さんは、恥ずかしくて旦那さんの社名を言えないんですって。その人が悪いわけではないですが、東芝のせいでたくさんの従業員や日本という国がどれだけ混乱したかをよくわかっているひとなんですね。

 

長い間、東芝に勤めているのが誇りだったであろう旦那さんの精神状態やそれが波及している家族の今後を考えると悲しい。

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この2年で、業界の勢力図が大きく変わっている自動車。なのに日本は未だになんの変化も無いように感じませんか?

そのギャップを一気に埋めるように変化がおきます。破壊的イノベーションというやつです。

カイゼン活動を何百回繰り返したところで、エンジンの排ガスは0にならないし、自動運転は達成できない。

 

外から破壊される前に自分自身を破壊したいと思っている経営者も多いはずですが、それは中々できないものです。

 

エンジンの技術者をいきなり半分になんてできないでしょ?

 

だから残念ながら、彼らのクビが切られるタイミングと言うのはリストラ。という、状況のみなんです。

 

私のこの文章は、自動車会社の経営層が見たら、従業員に読んでおいてほしいと思われるようなものであると思っています。

 

だって、会社が切る前にかってに辞めていってくれればそれのが会社にとっては都合がいいわけですから。

 

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あ、ちなみに、アメリカのいい会社では速攻でひとのクビが切られる代わりにドンドンと新しい技術を持ったひとが入ってきます。それが文化です。それが当たり前です。

 

ダメになる前に脱出する。

たとえダメにならなかったとしても、脱出行為時代に意味がある。

そう考えられているのが世界経済の王者、アメリカの考え方です。