モバイル通信の歴史を勝手に振り返ってみる。そして格安SIMの次とモバイル通信の未来を想像してみる。

djoo.hatenablog.com

はじめに

スマホの維持費を格安に抑える方法を考えているときに、

「今後のモバイル通信はどうなっていくんだろう?」

と考えてみました。

 

企業や技術動向を調べたわけではなく、自分の考え(予想?)をまとめてみます。

 

過去を振り返ってみる(年数は適当)

通信に関するサービスは毎年のようにそのスタンダードが変わっています。

 

20年くらい前?はドコモやKDDIなどの折りたたみの携帯電話が主流でした。

「パケット」という今では全く使われない独自のデータ単位も存在しました。

 

パケ・ホーダイという今の子達が聞いたらなんだかわけの分からないサービスが主流で日本ではデータ通信は使い放題というのが当たり前とかんがえられるようになります。

 

iモードなどのキャリア専用のサービスが主流だったのは、まだまだPC用のサイトはデータが大きすぎたため携帯用には不向きでした。

 

 

その後、5年前くらいまでは、大手キャリア3社がスマホiphone市場を独占。

「2年縛り+端末料金無料」

 

 

最初から最後まで残り続けた日本メーカーは、ソニーくらいでしょうか?

日本メーカーの凋落を横目にサムスン電子が世界一のスマホメーカーになっていきましたね。

 

このときにソフトバンクが大きく躍進しました。

理由はiphoneなのですが、実はその当時docomoKDDIからもiphoneではないスマホが出ていました。

かくいう僕も、日本で最初に大手キャリアから発売されたAndroid 端末を使っていたわけですが、全くユーザーが増えなかった。

 

それは何故かと言うと、@docomoのメールアドレスが使えなかったから。

その当時、携帯ではまだ主流ではなかったGmailが必要だった。

 

僕はGmailを2008年くらいから使っています。

Gmailの誕生が2004年なので4年後、とかなりあとですが、それでも当時は先進的だった。

 

もともと、hotmailをずーっと使ってきていましたので、クラウドサービスのメールに抵抗はなかったし、PCと連動されるならちょうどいいやということでさっさと乗り換えられたわけです。

 

その後、各社は自社のメールアドレスが使えるスマホを売り始めます。

 

自分のキャリアを使ってくれている一番の理由がEmailアドレスであるというのに、スマホではそれがつかないというのはおかしな話です。

 

無事に各社は自社のアドレスを使えるスマホを販売できるようになり、iphoneも各社から販売されるように。

 

通信速度の増強とカメラ技術の進歩により、デジカメとカーナビが携帯に取って代わり始めたのもこの時期。

 

 

--

んで、一気に話は進んで、ここ7、8年位でシムフリーという考え方が一般的になり、「格安通話SIM」が登場、そしてあっという間に主流に。

 

実は、2001年にはすでに、b-mobile移動体通信事業者(かそういどうたいつうしんじぎょうしゃ、英語: Mobile Virtual Network Operator, MVNO)第一号としてサービスを開始していました。

 

僕も2010年くらいには、docomoでは通話のみを契約してb-mobileのモバイルルータで通信をするという状況を作っていましたが、それでもサービスが開始されてから10年もあとに初めて購入したんですね。

 

 

更に、イオンとかヨドバシみたいな小売店が参入してきたことで通信に疎い人でも格安サービスを享受できるようになった。

 

 

ちなみに、携帯価格に関しては、北米よりも日本の方がコストパフォマンスがいい。

 

孫さん率いるソフトバンクが、Sprintを買収したときに

「中国の空がスモッグで曇っているようにアメリカの上空にも高額な携帯料金というスモッグがかかっている。僕はそれを取り除き、青い空を見せる。」

というようなことを言っていました。それくらい日本のモバイル通信は進んでいるということです。

 

 

 --

さて、では、これらの変化の根底にある大きな流れを考察してみます。

 

 

キーワードは

 

1. 通話 → データ

2. クローズド → オープン

3. 個 → 公

 

この3つです。

 

 

一つ目の 通話→データ と言うのは、コミュニケーションに用いられる電波の種類が通話帯域からデータ帯域に一気に変わっていったということ。

 

通信速度が飛躍的に高くなった3G通信あたりから、SkypeやLINEでの電話が使い物になるようになった。

 

次にクローズド → オープン というのは、端末と通信先の2つで起こった変化。

 

 端末の方は、SIMフリーが実現したこと。

これによって、端末と通信をそれぞれ別々に選べるようになった。

 これがなければ格安SIMは成り立たない。

 

 

通信先というのは先程あげたimodeでは無いけれど、過去のモバイル通信では通信先がある程度固定されていた。

 

しかし、今では、その全てがインターネットのみで完了できるようになったということ。

 

先に上げましたが、@docomoとか@softbankのメールアドレスの代わりにGmailやLINEやFB(ちょっと昔はmixi)でコミュニケーション取れるようになった。

これもキャリアにこだわらなくてもいい大きな理由。(今でも@docomoにこだわっている人とかいるんでしょうか?)

 

 --

さてさて、ここからは未来予想です。

最後は量子コンピュータとかAIの話まで突っ走ります!(笑)

 

まずは、直近、あと1年か2年くらいでスタンダードになるのは「IP電話」のみを保持する人の爆増です。

 

固定電話も携帯電話もすべてがIP電話化されていくでしょう。

 

 

僕が選んだコンビネーションですが、「データSIM+IP電話の組み合わせが主流になります。

通話SIMからデータSIMに大量に人が流れ込みます。

そのうちあまった通話のための帯域をデータに割り当てるということを総務省が発表するでしょう。

 

 

楽天ではすでに、この流れを汲んで050データSIMなるサービスの提供を始めています。 

(今のところ、僕はこれをおすすめしません。050の番号取得のために月額100円程度のお金が取られているから。SMSを必要としないのであれば、ただのデータSIMとサードパーティIP電話サービスでOK)

 

 

これで、通話用の電波を全く使わなくても事足りる。という状況がやってきたわけです。

 

 

しかしこのIP電話も一過性の人気で終わる可能性がある。

と言うか電話番号自体がなくなる可能性が高い。

 

もしもすべてのコミュニケーションがLINEやGmailSkypeで済むとしたら、電話番号なんて持つ必要は無いわけです。

 

電話は公共性が高いサービスですから公共機関や企業は持ち続けるでしょうが、個人や小さな店舗では電話番号を持っていません。となるものが増えます。

連絡はメールかSkypeかFBかLINEで取り合う。というのがより当たり前に、より一般的になります。

 

結局古いものとのつながりが必要だからやむを得ず電話番号を持つわけです。

 

--

 さて、大きな流れの3つ目の「個 → 公」というのは簡単に言うとクラウドサービスです。

 

昔はメールは端末に保存されるものだったんですよね。

機種変更のときにデータを移す必要があった。古い携帯電話をずーっととっておく人もたくさんいた。

 

それは写真とかメールが端末に保存されてしまっていたから。そういう意味で端末やキャリアの縛りがすごく強かった。

 

しかし今ではLINEやFBのデータにはどこからでもアクセスできるし、端末が変わっても情報は引き継げる。

 

写真もGoogle Photoを使えば端末に保存する必要は無い。

電話帳もGoogle コンタクトに保存されていたり、iphoneiCloudに保存されているから端末やキャリアは関係ない。

 

ちょと話が長くなってしまいましたが、こういった「個 → 公」の流れを完了することで、モバイル通信の大きな変化は終わりを迎えるのでは無いかと思っています。

 

その最後の変化、「個 → 公」はSIMカードが無くなることで完了します。

 

これが今、僕が考えられるモバイル通信の最終形態です。

 

公衆Wi-Fiがメジャーに。

いずれ、SIMカードがなくなり、Web上のアカウントをKeyにしたWi-Fiアクセスのみでどこでも通信ができるようになるはずです。

 

東京や横浜などでスマホWifi電波表示を見ているとわかると思いますが、どこでもいろんなWifiが飛んでいますよね。

 

 

そのうち、23区内カバー率99.99%とかの公衆有料Wifiが出てきて、東京に勤める大半の人は、その契約のみしていればどこでもネットや通話ができる。という状況ができるはず。

 

 

ただし過渡期には、SIMはバックアップとして契約が必要になるでしょう。

多分、プリペイドSIMが主流になります。

「3,000円 / 10GB」

とかこんな感じの。

 

今は「格安SIM」という言葉で販売がされていますが、そのうち「格安公衆Wi-Fi」と格安端末のセットが売られるでしょう。

 

端末と一緒に購入することで、公衆Wi-Fiの使用が期限付きで無料でできるセットです。

 

購入するのはネット上のアカウント。なのでSIMの新規契約手数料のようなものもなくなります。

 

乗り換えもあっという間。

価格比較サイトでどんどんと安い公衆Wi-Fiができてきますから。

 

アンテナを持っている大手キャリアは今の携帯用のアンテナをSIMなしでつながるように改造していきます。

(これはできるのかどうか知らないけど・・・)

 

 

最後にIoTやAI、量子コンピュータについて簡単に書きます

 

これらの流れが何を意味するかというと、通信機能さえ持たせておけば、すべてのものが、いつでもどこでもつながっていく、ということ。

 

アメリカのamazonが発売し今年のヒット商品番付横綱間違い無しなのがECHO。

これはスピーカーのような形をした通信端末です。

 

話しかけることでWi-Fi経由で直接amazonのカートに商品を追加 / 購入を完了することができる。

 以前流行った、amazon dashなども同じ仕組み。

 

これは今は家のWi-Fiのみで動いていますが、そのうち公衆Wi-Fiでもできるようになります。

 

 

SIMカードが要らなくなったときには、靴にも服にもメガネにも超小型の洗える通信端末が搭載されて、歩くときの振動のちからを使って、発電して発信するということが普通になっているはずです。

 

そして歩数や移動距離、汗や体温情報、見たものや聞いたことすべてが自分のGoogleのサーバーにつながる。

その上でそのサーバーはスマホに対してそういったインプットから導き出される、アウトプットを提案するようになるのです。

膨大なデータを処理し適切なアドバイスを出す。これこそがAIに求められている能力です。

人間が今やっていることに限りなく近い選択を膨大なデータの統計から導き出す必要がある。

 

「今日はもう1万歩のウォーキングを完了しました。これで15日連続達成ですね。先月の3日に彼女に送った宣言メールを見事に達成です。達成記念のメールと先ほど公衆監視カメラが撮影した写真を送っておきますね。

 

さて、体温が上がっているからこの先15m先にあるコンビニで栄養ドリンクを飲みましょう。なぜなら発汗量が多く、朝から食べているカロリーではやや足りないからです。

そのコンビニでは今キャンペーンをやっているのでこのクーポンを使いましょう。クーポンはすでにサーバーに登録済ですので、指紋でお会計をすればクーポンが適用されますよ。」

 

自動運転が盛り上がり始めている自動車もその一つ。

 

通信機能を備えておけば、契約されている公衆Wi-Fiを経由しながら常にサーバーと車がつながるようになる。安定通信ができる状況であれば、個々の車はセンサーと通信機能を備えるだけでよく、計算は集中管理されたGoogleのサーバーで行えば良いわけです。

 

 

ここで必要になるのが量子コンピュータ

時速100km/hで走っている自動車からの膨大な計算を瞬時に実施して車を操作する必要があるからです。

 

NVIDIAが開発しているチップは個々の車に搭載する簡単な処理ができるチップですが、将来的には通信速度と安定と量子コンピュータによって、ブレーンは一箇所でOKになる。

 

 

実はこれらのことって結局は今人間がやっていることなんですよね。

情報は今のスマホにだいたいあるか入力している。

 

でもつながっていない。

 

 

 

これらをつなげて一つのアウトプットを出すために必要なのが

目と脳みそ、つまり、IoT(センサー) と AI(ロジック) + 量子コンピュータ(計算速度)です。

 

 

あとがき

こう考えてみたときにどういった企業が情報通信の分野で強く生き残っていくのか想像できます。

 

最終的に行き着くのは、アンテナを持っている大手キャリアの安定感は抜群だということ。

 

すべての情報は結局のところアンテナと電波を通さずには通信できない。

 

通信料は今後も指数関数的に伸びていく。なにせ、人間の行動、一挙手一投足すべてがデータ化される時代がもうすぐそこに来ている。

 

今はアップルやサムスンなどの機器を作っているメーカーが台頭していますが、最終的にはサーバーでの情報処理と通信インフラ。この2つが勝つはずです。

 

端末はただの目や耳になるだけ。モジュールができてしまえば誰でも作れるものになります。車ももちろんそうです。

 

アメリカのIT各社がAIの研究に巨費を投じている理由はつまり、結局のところデータをどうやって処理するか。ということができないとサービスを提供できないとわかっているから。

 

そして、どこよりも先に、Googleのサーバーが一番。となれば他は何もいらない。

Googleアカウントですべてがつながり、Googleサーバーの処理が人間を助けていく。

 

そしてGoogleはサーバーをつなげて情報処理させることはできるけれどもそのサーバーのブレーンであるチップはインテルNVIDIAが作っているわけです。

(孫さんが英アームを買った理由は個々です。結局インテルにチップの設計図を納品しているのはアーム。アームの設計図がないと、インテルがチップを作れずに、Googleがサーバーを作れずに、集められた情報を処理できずに、情報を集めるためのセンサーもアームがいないと作れずに、、、という風な、ある意味食物連鎖の頂点にあるのがチップの設計図。なわけです。天才ですね、孫さんは。)

 

--

おじさんやマスコミはSFのような世界、とこういう世界のことを言いますが、別にSFでもなんでもなくてその時代を生きている若めの人に取っては当たり前に感じるはず。

 

人生が長い人、すなわち若めの人は、おじさんたちと一緒に、SFとひとことで片付けるのではなく、そういう時代は誰によってどうやって作られ、そしてその時代にはどんなものが、どんな人が求められるのか。を考える必要があります。