コロナ禍で顕になる日本の社会的問題と解決策について考える

私は東京の国立大学の修士号を持ち、東証一部大手メーカー → ベンチャー外資系コンサル というキャリアを歩んできている。

もっぱらの仕事は、大手企業の事業戦略の立案をお手伝いする仕事であり、最近はメーカー時代に培った全社システム変革のスキルも活かせるデジタルトランスフォーメーションの案件に多く関わる。

私の周囲にいる友人知人もほぼ100%誰でも知っている大手企業に正社員として勤めている。年収の話になると誰それは30歳で1,000万円を超えた。とか、組織の話になると部下を20人率いるマネージャーになったとか。

キャリアアップの話になれば海外でMBAを取ったあとにMcKinseyに内定した。など、自分ももっと頑張らねば。といつも刺激をもらっている。

そんな友人たちとweb飲み会をしてみたところ、皆働き方がテレワークになったことや、コロナが追い風になり、デジタル関連のしごとが増えているなど、特に深刻な話は全く出てこない。むしろ、働きやすくていい社会がやってきたという楽観的な話ばかり。

10万円給付に関しても自分は何も損をしていないのに、というかむしろ外に出なくなったために支出が減って手元に多くのお金が余っている。という状況での話で、まあよくわかんないけどもらっておこう。という程度。

むしろ株価が下がっているからということで、この波乱に満ちた株式市場に粛々と立ち向かうための軍資金になっている。

さて、前置きが長くなったが、コロナによって貧困が加速する。や所得が減る。などの話は一部の自営業者の皆さんの問題であり、我々勤め人には関係の無いこと。と、誤解を恐れずに言えば、そう感じている。多分そのように感じている人は多いはずだし、実際問題、コロナになったからと言って仕事がなくなるなどのことは少なくとも私の知る限り聞いたことはない。

そんななか、以下の記事を読み、いかに自分が思慮浅い人間であったか痛感した。

新型コロナが追い打ち「月収10万円」貧しさの現実
日本も含めた先進国の貧しさは「目に見えない」。とりわけ日本では、働いているのに貧困、すなわち「ワーキングプア」が多いので、余計に見えなくなる。

自分の尺度と感覚で世の中を見ているがために、こういった社会が抱える現実的な問題を全く見ていなかった。

内容は簡単であり、日本の相対的貧困率が先進国の中でも際立っており、セーフティーネットとして企業の雇用に期待し続けている。というもの。

しかし、火を見るより明らかであることとして、企業は無駄な人材を抱えるほど余裕はないし、まさに私が実行しているデジタル関係の施策はすべて、単純労働者を企業活動から排除することにほかならない。

AIやビッグデータを用いて高度な分析までも自動的に行い、今まで手作業で行われていた事務作業をクラウド上でまたたく間に完結させてしまうような、そんな事業変革を粛々と進めている。

そして私はまた一人、また一人と、少ない賃金でどうにか生活を営んできた労働者の職を奪っているのだと気づいた。

コロナで潰れる企業や職を失う人は、時代の流れに合わなかった。それは自分を磨いていなかっただけだ。というのは簡単だ。

だけれども、ここまで豊かになった日本という社会において、ドロップアウトした人々が人生のどん底の気分を味わい、希望を持てなくなってしまうことがものすごい数発生しているということを何もせずにただ見ていていいのだろうか。

ベーシックインカムという考え方は学生時代に当たり前のように勉強してきている。社会保障制度の一つで高福祉国家のその先にある制度。競争社会には不要で、アメリカ的な自由競争主義が最も世の中を良くするもの。そういう認識で合ったのは否めない。

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いまこそ、豊かな日本だからこそ、誰もが失敗することを恐れずに、失敗しても(失敗したと自分がおもっても)、ちょっと気を持ち直せばまた楽しくいきていける社会を実現すべきだと強く考えるにいたった。

冒頭の個人的な話をしたのは、私のように何も考えずにのほほんと、親の教育や運の良さで何の苦痛も感じない人生を送っているたくさんの人は全くもってそういったことに関心を寄せず、自己責任でどうにかすべきと考えている人が少なくないという実例を示すためである。

成熟国家日本が取るべきお金の使いみち、すなわち国政は富の再分配を今よりも強固にして必要以上にお金がはいってくるひとから支えるべきタイミングの支えるべき人々にお金を流すことだと強く思う。

だからといって、今から自分のお金をすべてベーシックインカム的に誰かに渡すか?そう問われると言葉に詰まってしまい、きっと行動できないのは情けない。

次の国政選挙では成長論ではなく分配論を強く推し進めるという方針を掲げる政治家に一票入れよう。それがこの記事から私が起こすアクションである。

そしてできれば、日本に500万人近くいる公務員の皆さんも無駄なお金の使い方をせずに、この記事で触れられているような問題を解決するためにお金を使うように一緒に動いていってもらいたいと思う。

天下り先の確保と、予算配分の権限、組織の肥大化のみのために働くベスト・アンド・ブライテストの官僚のみなさんの意識変化を起こせるような政治家を求む。