転職時に転職者が理解すべき社内の状況

djooです。

 

ベンチャー企業から外資系企業の戦略コンサルに移りましたが、

ベンチャー企業を辞めるときに、上司や会社の上層部、同僚の取り扱いには十分注意が必要だな。と強く思いました。

 

1. 上司や会社が裏切られたと感じるのはあたりまえ

そもそも上司としては、自分のしごとを長くやってもらうつもりで、部下にあたる社員には色々と教育をし、将来を見越した仕事を与えています。

(そうでない職場で場当たり的な業務を振っている上司もいると思いますが)

 

ということで、彼らの頭の中の計画には、転職を申し出た社員をどう使おうか、というアイディアがしっかりとあったわけです。

 

でも、転職者側からしたら、はっきり言ってそんなこと知ったこっちゃないわけです。

将来を期待している。とは言ってもすぐに役職があがって大役が回ってくるわけでなければ、そういう約束を上司ができるわけでもない。

 

あくまでも「上司や会社が勝手に期待をもって勝手に計画していた」だけです。

 

でも、やはり日本企業というのは、辞めていくことによるショックやダメージがでかい。

そういうことを想定するということが下手だし、人材や組織に対して配慮や戦略が弱い部分があります。

(アメリカにいたときには辞めても大丈夫な体制をとる。ということが一番大事でしたし、そもそも人の入れ替わりが激しいので、そんな中でもパフォーマンスがちゃんと発揮できる組織づくりができる上司が認められてました)

 

ということで、まずは上司的には、会社的には、

「裏切られた」

と勝手におもうわけです。

 

そういうふうに勝手に捉えられるようなことをするんだ。と転職者はちゃんと腹積もりをもって退職手続きにはいりましょう。

 

2.社員への動揺は少なからずある。でもそれは会社にとって必要な動揺です。

私は、誤解を恐れずにいうと、幹部候補社員であり、社長の右腕として、ベンチャーをまわしていく最前線にいました。

部署関係なく全社案件の先頭にたつのは常に私。

社長の代わりに社員を鼓舞するのも実務レベルでは私の仕事。

 

なので、退職の事実が社内に伝わるにつれ

「明らかに士気が下がっている」

というのを強く実感しました。

 

中には、「自分もやめようと思っている」や「どういう転職活動をしたのか」「次の職場の給料はいくらか?」など、辞めることがわかったがゆえに、社会人同士という立場で深い話ができるようになったりしました。

 

これは、社員にとっては、

「あの人がやめるということはうちの会社はやばいんじゃないか」

とか

「あの人が辞めるというのはやっぱり自分の感じていた違和感は間違いないんだ」

という裏付けになり、彼らの会社に縛られないキャリアプランの背中を押すことになるわけです。

 

そして、やはり人間というのは面白いもので、少しでも士気が下がると、それがわかるものなのですね。

発言一つとっても、「やめようとおもっている」と打ち明けてくれた社員の言動はやはり長期的な視点が抜けたり、覇気がなかったり。

 

会社側からしたらたまったもんじゃないでしょう。

一人の社員に引きつられて次々と人が辞めていったら、それこそ業務が止まってしまう可能性もあります。

一方で、そういう社内の体制になってしまっていた。というのをこういう一連の離職を経験することで、会社が学び、そこに対する適正な準備や投資を考えるキッカケにもなるはずです。

 

ですので、自分が辞めることで会社がいい方向に変わっていく可能性がある。

従業員にとって最も強力なカードである、「退職」を使うことで、自分がお世話になった会社が少しでも良くなる。と信じて残された役員に会社を委ねる気持ちが大事です。

 

間違っても、

「自分のせいでみんなが仕事に集中できない」

とか

「自分に続いてみんなやめたら会社に申し訳ない」

などと思ってはいけません。

 

むしろ、自分ひとりぐらいが辞めたところで動揺もなにも起こらない会社であるべきです。

 

3. 次の職場の情報は程々に出したほうが良いかも

私は次の職場の情報を100%オープンにしてました。

すると、ある上司からは、「あそこにいくのはどうかと思う」などという意味のわからない嫌味に近い意見が、送別会で出てきました。

 

引き止めるためのアイディアならまだしも、送別会という、もうどうにもならない状況で次の職場の批判を始めてしまったんです。

 

これはもちろんdjooにとっても好ましいことではありません。

でもそれ以上に、退職者にたいしてそういうことを公然と吐いてしまう上司がいるということを、周りの人間が聞いている。という状況が最悪です。

 

一言でいうと、ものすごくダサい。

 

本気でdjooのことを考えた上でのアドバイスだと捉える人はおらず、自分が管理しきれずに辞めていってしまった社員に対する嫌味を言っている、かっこ悪い上司。とみんなが思ってしまったんです。

 

その人のことを尊敬していた私の部下も

「みんなの前であんなことを言う人だとは思わなかった。信じられなくなった」

と幻滅し、とりあえずビズリーチに登録してました。(笑)

 

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djooとしてもお世話になった上司なので評判が落ちるのはあんまり気持ちのいいことでは有りません。

なので、もしかしたら、次の職場の情報はあまり公にしないほうがいいのではないか?とも思いました。

 

djooになったつもりでああでもないこうでもないと会社の批判や比較が始まってしまうのですが、そこには論理性も目的もなく、ただの嫌味や未練に聞こえるものです。

 

4. 引き継ぎ計画は前倒しで実行し、ギリギリまで自分が業務をしないでも良い状況を作る → 社内外への正式アナウンスを早めに。

退職日直前になって退職のアナウンスを投げる人が多いですが、結構早めのが好ましと思います。

 

なぜなら、

・辞めるということがわかれば、関係のある人は必死になって引き継ぎをしようとする

からです。

 

引き継ぎというのは、どちらかというと、投げる方(辞める人)ではなく受ける人が積極的でないとうまく進みません。

 

でも、退職していくのは本人の勝手なので、受ける方というのはものすごく前向きに協力的でない場合があります。

 

ですので、強制的にでもそういう姿勢を作らせるために、辞めることを社内外に対してさっさとオープンにしてしまい、

「あの人はもういなくなる」

という前提で業務にあたってもらうというのが得策です。

 

そうなると、いちいち辞めることを説明して引き継ぎする必要も無ければ、

勝手に向こうから引き継ぐべき内容がふってきます。

 

社外を巻き込むことで、社外からの連絡が引き継ぎ先に積極的に流れるようになりますし、引き継ぎ先としても、現担当がいる最中に自分でやってみてわかんないところを聞く。ということができるのがベストなのです。

 

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以上、転職したことがある人は多かれ少なかれ共感できる部分もあると思いますが、

改めて書いておきます。

 

1つの会社で60-70歳まで働き続ける時代は終わりました。

※参考

車大手、中途採用広がる トヨタは総合職の年5割に

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50497670S9A001C1MM8000/

 

やっとのことでトヨタも方針を変えましたねぇ。

まあ、新卒一括採用して、そのまま40年働かせて、使い物になり続けるわけがないですよね。時代も変わるし技術も変わる。そういう中で、人材がボトルネックになって死んでいく企業が沢山有ります。

 

逆に、一つの会社しか経験したことがない人の市場価値はどんどんと下がっているということを実感します。

 

転職したことがある人はよくわかっていると思いますが、転職にはパワーが必要です。

 

転職活動自体にもパワーが必要ですが、新しい環境に適応してパフォーマンスを発揮するというのも大変。

 

でも、人材の流動性はますます高まっていくわけで、企業という概念そのものがあまり意味をなさなくなるのも自明です。(フリーランスやオープンイノベーション)

 

ということで、日本の伝統企業における転職者や転職というのは「悪」と考えられ、色々と気持ちが沈むことが多くなるはずです。

 

でも、転職は悪ではなく、日本や企業を救うために必要なこと。

必要悪ではなく、完全な善です。