いくら金融緩和をしたって景気は上向かない。-日銀、金融緩和運用柔軟に 長期金利の変動容認-
日銀が引き続き金融緩和し続けると発表しています。
ただし、今の日本社会においてはいくら金融緩和、いわゆる長期金利の引き下げと量的緩和、日銀による国債の買い入れを続けていても、過去20余年の実績から景気は良くならないと証明されている。
一時的に円安に持っていくことで輸出業の業績が上向いたように見えるがそれは根本的な景気対策ではなく、一時的な安倍政権の票集めに近い。
もちろん、一時的に景気が上向いたように見せることによって、そこからいろいろな問題の解決をしやすくする、つまり消費税を上げるというのは世論を勘案すると悪くないと思う。
しかし、日銀はもう少しまともに中央銀行としての役割を果たすべきだと思う。
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そもそも、金融緩和によって景気が回復するロジックというのは、「供給されたお金は必ず消費される」という前提に立っている。
つまり、
1.銀行から企業に、安くお金が貸し出される
2.企業が設備と雇用への投資する
3.商品が世の中に出回る&給料が上がる
4.みんながお金を使う
5.企業が潤う
→ 2.へ
という流れ。
ただし、先程も書いたように、ここ20余年でおきているのは、
1.銀行から企業に、安くお金が貸し出される
2.企業が設備と雇用への投資する
3.商品が世の中に出回る&給料が上がる
4.みんながお金を使う ← これがない
5.企業が潤う
→ 2.へ
要するに、たとえ給料が上がったとしてもみんなお金をわんさか使わないよね。
ということです。
考えてみてください。
いきなりボーナスが100万円入ったからと言って、いきなりクルマを買ったり、家電を買ったりしないでしょう?
しかも、お金が多く入るのは、実は給料をもらっている層ではなくて、株の配当で潤っている高齢者層。
高齢者がいきなりレクサスのスポーツカーをバンバン買ったりはしない。
(超金持ちは買うかも)
高齢者は潤ったお金を何に使うかというと、ズバリ、貯金します。
だって、人生100年時代。今後が不安ですもの。
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そもそも、今の日本の景気が悪いのは、
「お金がなくてみんながものを買えない」
と考えているとしたら政府は全くの無知と言って良い。
今の国内の景気が悪い理由は
「ものがたくさん余ってて、お金をわざわざ使うほど欲しいものがない」
という状況。
更に、子供ができて家を買って。という世代が30年前と比較すると15%減ってるわけでそりゃー日本の消費は下がっていく。
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んで、更に怖いのが、このまま金融緩和を続けていくと、日本の価値を大きく毀損する可能性があるということ。
それはどういうことかというと、中央銀行が発行している日本銀行券というのはそもそも日本の国力を担保にしているという根本的な部分を国民が理解していないから。
怖いストーリーというのは。
・日本銀行券の価値は日本国の納税力を担保にしている
・しかし日本国は納税以上に借金の返済(国債残高)が高い = 赤字
・赤字の国でも成長余力がアレばみのがしてくれる
・けれども日本って成長余力が見込めない
・ってことは、日本国が発行している国債の価値って無いのでは?
・国際価格暴落=金利の急上昇=物価の急上昇
これってジンバブエとかでおきたハイパーインフレと同じ流れです。
これが起こるとどうなるかというと、日本円の価値がゴミクズになります。
今までせっせとためてきた日本円に価値がなくなるということです。
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上記の様なことをちゃんと考えるためには、以下の様な考えを身に着けていく必要があります。
・そもそもなんで不景気なの?っていうか不景気ってなに?
→ はいどうぞ。
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・既存の日本の資本主義経済(=日本円をベースにした経済)に100%依存しないように注意しましょう。
→ こちらをどうぞ
・そもそもお金って何だっけ?
→ これが勉強になりますよ。
・金融緩和が意味なくて危ない理由は?
→ こちらをどうぞ。
・日本円が信用できなくなったら何を拠り所に日本で生きていけばいいの?
→ 日本には豊かな自然(=資本)があります。
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・自然だけじゃちょっと。。。
→大丈夫。日本人には幸せになれるストックがたくさんありますよ。
藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?
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と、藻谷さんの本推しになってしまいましたが、古めの本から新しい本まで、本日の日銀の発表が昔から変わっていないと理解できますよ。
では。