FCVに本当に未来(MIRAI)はあるのか? -どんなに優れた技術でも高価であるうちは世の中を変えられない-

www.nikkei.com

 

日産もFCVの開発を凍結しました。

国内三大メーカーでは、

トヨタ自動車と独BMW

・ホンダと米ゼネラル・モーターズ

が残った形です。

 

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世の中の流れはFCVではなくEVですね。

 

なんでEVかというと、

・インフラコストが安い

・車が作りやすい

この二点に集約されます。

 

インフラコストの点ですが、要するにガソリンスタンドに代わるEVステーションの設置コストです。

 

自宅に充電ステーションを作る場合は補助金等で10万円未満で設置できます。

EV QUICKなる急速充電ステーションも500万円程度。

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一方でFCV用の水素ステーション一箇所5億円!?も設置費用がかかるそうです。

 

実にEV QUICKの100倍!

水素ステーション1個作る費用でEV QUICKが100個も作れるのです。

 

ということで、社会(企業や自治体)が負担しなくてはいけないインフラコストがFCVの場合は莫大にかかってしまうことがわかります。

 ※EV QUICKの設置費用が安い理由は、すでに日本全国に電力網が出来上がっているからです。すなわち、今まで我々が使用してきた電力というインフラを活かすことができるわけです。

 

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さて、EV車が作りやすいという話です。

 

相対的にFCVは技術的に製造が難しい車です。

理由は、バッテリーの代わりに燃料電池システムを積む必要があるためです。

 

 

ちなみに、既存の車、ガソリン車でもディーゼル車でもそうなのですが、作るのが最も難しいのは言うまでもなくエンジンです。

ここで言う難しさというのは、品質と性能の双方です。

 

品質というのは製造された製品の性能が正しく出るかどうか。

性能というのはそもそも設計段階で算出可能な製品のスペックです。

 

トヨタのFCV車、MIRAIに搭載されている燃料電池はものすごく性能が良いので有名です。

燃料電池車トヨタ「ミライ」の航続距離は省燃費走行で600km超!その実用度は? – WEB CARTOP

 

ただし、残念ながらどんなに燃費の良いクルマであっても、燃料代が高ければトータルの維持費は高くなってしまいます。

MIRAIの性能が、とてつもなく良かったとしても、水素ステーションを建造するのに5億円かかってしまっては、水素エネルギーを有効に活かすことは難しいでしょう。

 

話が少しそれてしまいましたが、トヨタが作ったMIRAIは性能がとても良く、作るのが難しい車ということです。

 

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EVは部品点数がガソリン車に比べて圧倒的に少なく、作りやすいクルマです。

今のデスクトップPCのような感じで、韓国や中国の新興メーカーでも部品と設備さえ揃えば高品質な商品を作ることができます。

 

あとは製造効率をどれだけ高められるかが勝負になります。

 

PCなどをイメージするとわかりやすいのですが、EVになると、完成したクルマというよりはつかわれている部品が大事になってきます。

 

モーターやバッテリー、そのあたり。

PCでいうCPUやメモリ、OSなどと同じで、完成されたPCというよりは性能を左右する主要なコンポーネント=部品。に注目しますよね。

 

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と、こんな感じでPC化していくクルマなので、トヨタ東芝の二の舞になりたくないと、難しいクルマを次世代の主流にしたかったわけです。

トヨタしか作れないクルマが次世代のクルマになれば、次の100年も安泰です。

 

 

しかし残念ながら、トヨタにクルマのMIRAIを託す国や国民、企業は少なかったようです。

 

当たり前ですよね。

 

新興自動車メーカーにしてみれば、眼の前にものすごく安価で簡単につくれるEVがあるのに、わざわざ難しいFCVに取り組む必要はない。

 

というより、そもそも次世代のクルマ業界を引っ張っていく企業がトヨタGMであると考えている人はほとんどいないと思って間違い無いです。特に新興国では。

 

彼らが期待しているのは、アメリカ西海岸のIT企業です。

GoogleAmazonFacebookと共に、次世代のクルマを作っていきたい。そう思っているため、アメリカITの巨人たちが「EVで」と宣言してしまえばそれで世の中の流れはできてしまいます。

 

実際に、テスラ・モーターズを始めとして、アメリカの自動車会社やIT企業はEV推しです。

 

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結論

非常に性能がよく、図画工作の授業や美術の授業であれば「天才だ!」と言われるようなFCVですが残念ながらそれは美術品としての価値を超えることはなく、実用的ではないと考えています。

 

家電化するクルマ

電池とモーターで動くクルマはシンプルで作るのが簡単。

既存の電力網を使うことでインフラ投資も抑えられる。

これだけ条件が整っている世の中のガソリン車の次のクルマとなるのはやはりEVでしょう。

 

EV社会の次を考えればFCVは有りうるのかもしれません。

例えば発電するための化石燃料の枯渇とか、温室効果ガスによる温暖化とか?

でも結局水素燃料を作るのにも莫大なエネルギーを必要とするため、すぐにEV時代が終わりを迎えることはないでしょう。

 

↓↓↓以下はハフポストから。↓↓↓

燃料電池車FCVによる水素社会は本当にエコなのか?

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