日本農業② -農政トライアングルの既得権益が諸悪の根源-
そしてこれらの本やネット上の文章から見えてきたのは、日本の未来を左右する大きな可能性を秘めている日本の農業の根本的な問題です。
そもそもコメの生産から外食、中食、家庭に届くまでの流通の大部分はある組織が牛耳っており、その組織が概算金という名の下、価格を決定しているというのです。
多くの組織が既得権益を守るために必死です。
特に、自由競争にさらされることの少ない、政府の外郭団体ではその傾向は顕著です。
私は、いくらでも既得権益を守るために頑張ればいいと思っています。
ただし、他人に迷惑をかけずにやってほしいと思っています。
今回のエントリでは、日本農業を取り巻く古く非合理的な農協に使われている税金に関して書きます。
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まず、今の農協が行っている事業は、戦後直後の闇市時代に米価が高騰した時から延々と引き継がれている事業です。
その当時、闇市で法外な高値で取引されていたコメを世間一般の人が購入できる値段で流通させるために、JAが農家からコメを買い取り、一般に流す。という今の流れができました。
しかし、その後、農業にかかるコストは抑えられ、需要と供給が安定してきます。食糧危機は去り、闇市もなくなり、適正価格でコメは流通させることができるような状況になったのです。
つまり農協のが担ってきていたコメの買い取りと流通という事業は縮小を始めるべきタイミングでした。
しかし、そんなことを当時の農林水産省や農林議員、そしてJAが許す訳ありません。
「コメは日本人の主食であり、安定確保と食料自給率の向上のためにも我々は必要なのであります!」
と声高に主張。あたかも国民のため、を謳っているようなこの謳い文句に農政関係者が一斉に乗っかりました。
農林議員は、自分の票のため。
農林水産省は、自分たちの存在意義のため。
そして、農協は自分の組織の存続とポスト維持のために。
そうです。誰も国民の食糧問題のために働いているわけではなく、自分の生活のために頑張っているのです。
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先日、JA全中の新会長に中家さんというかたが当選されました。
いわゆる、守旧派と呼ばれるグループのドンだそうで、今のままの農協でいようというスローガンのもと、ダブルスコアで当選されたのだと。
これは、今の安倍政権に対して真っ向から戦う姿勢を表しています。
実は安倍政権は日本の最後のフロンティアとも言われる「農業」を改革するために、小泉進次郎議員を中心としたグループを作り農業改革に取り組んでいます。
この農業改革。詳しくは政府の資料をご覧いただくとして、基本的な考え方は、農協内の2つの事業を分離してください。と農協に依頼しているだけなのです。
その2つとは、
金融事業
流通事業
この2つ。
なぜこの2つを分離することで農業改革が進むかというと、実は農協の利益の殆どは金融事業から生み出されています。
つまり、農協の本来の存在意義であるはずの流通事業は全く儲かっていません。
何故儲かっていないか?
それは一言で言うと無駄が多すぎるのです。
東京のど真ん中んJAビルを保有し、全国の都道府県に何十もの支部がある。
その支部一つ一つに役員やら管理職やらがおり、彼らの給料を払うために農協は存在していると言っても過言ではない状況。
これでは、単価100円未満の野菜をいくら流通させても儲かるはずはありません。
また儲かる必要もないというのが彼らの本音でしょう。
なぜなら彼らは協同組合だから。
協同組合は儲かるためにあるわけではなく、組合員の利益のために存在している。
つまり、JAにとっては、
「日本の農産物流通を良くしていく」
「生産効率を高める農業を推進していく」
というのは取り組むべき課題ではないのです。
JAにとって大事なのは
「なるべくたくさんの組合員から組合費をもらう」
ということ。
これがすべて。
だから農家が大規模になって自主流通ができてしまったら大変です。
組合費が減って、流通を担うJAの価値がなくなってしまいますから。
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日本で安くてうまい野菜を買うために変わるべきは自分たち
農林水産省、農林議員、JAが自ら変わることは有りえません。
長々と書いてきたように、彼らには変わる意味がないから。
でも、日本で安くてうまい米とか野菜を買って食べたい。と願っている人はものすごく多いでしょう。
無駄のない、先進的な農産物流通を作っていき、
農産業界に市場原理を持ち込むことこそが我々消費者にとって必要なことであると確信しています。
そういったビジネスに取り組んでいる農業ベンチャー企業も多数あります。
株でも買ってみようかなぁ。。。。
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戦後の発想を持った組織に頼らずに豊かで低コストな農産物を消費できるようになりたい。
日本が抱える最大にして最古の産業界が農業。
自由化が進むことで消費者が得られる利益は莫大なものになるでしょう。