次の東芝? 神戸製鋼の不正で証明される日本製造業の限界
まずは神戸製鋼の不正行為の概要をさらっとおさらいしてみます。
神戸製鋼は日本では中堅の鉄鋼メーカーです。
日本国内には新日鉄住金やJFE等の巨大鉄鋼メーカーがおります。
世界を見てみるとアルセロール・ミタルやポスコの様な超巨大企業がひしめいているわけです。
鉄はその昔は日本の製造業の原点として取り沙汰されていましたが、今や汎用的な鉄などはどこの国でも簡単につくれます。
中国企業が世界の約半分を生産していることからもわかる様に、安くて大量に必要とされる商品=すなわちコモディティ化している商品を作っているのが鉄鋼メーカーです。
さて、典型的なコモディティ型企業である神戸製鋼は冒頭で述べたように、中堅の鉄鋼メーカーです。
コモディティ型企業が直面する課題としては、大規模化する世界各国の企業と戦うために、自分も大企業連合に加わるか、付加価値の高い、自分たちにしか作れない商品を開発するかの二択です。
んで、神戸製鋼は後者を選びました。すなわち付加価値商品を作っていこうと決めたわけです。
KOBELCOというのは神戸製鋼が多角化の中で進めた建機事業にて生まれた建機メーカーです。
これだけ見ると、なかなか優秀な経営をしているなぁ。と実は僕も新卒で就活をするときに、キャタピラ三菱やコマツなどと横並びで面接に挑戦するか悩んだ程です。
(今から考えると採用に進まずに本当に良かったと思います。)
--
さて、今回の不正はまさに神戸製鋼の稼ぎ頭である、アルミ・銅事業で行われました。
高付加価値=お客さんが信頼して高い金額を払ってくれる商品
で嘘をついて不正に商品を売りまくっていたわけですね。
例えばこれが赤字ギリギリの鉄鋼事業であれば、これを機に鉄鋼事業をたたみます!みたいな宣言をして、鉄鋼メーカーから高付加価値の特殊鋼メーカーに生まれ変わることもできたでしょう。
しかし、不正を犯してしまった事業部はまさに神戸製鋼の未来を背負って立つと期待されていた事業部でした。
まずはこの不正が日産の検査無資格者による検査などとは比較にならないほど重いことだという事を強調しておきます。
--
さて、この神戸製鋼の不正は私も度々ブログの中で主張している、日本製造業の限界を象徴しています。
別に神戸製鋼だけではなく、どこの日本的大企業も限界を迎えています。
限界。というのは、
・安くて高機能な商品を設計開発
・世界のニーズを組んだ先進商品の市場投入
・ホスピタリティあふれるアフターサービス
・何重にも繰り返される品質テストを突破した高品質商品の提供
を
・使えない部署を抱えながら
・使えないおじさんを雇いながら
・無駄なルールや慣習を守りながら
続けることです。
なので、神戸製鋼や東芝の様なことはこれからもどんどんと起きていくわけですが、大事なことは、
・意義のある事業のみに投資をする選択
と
・不要なものを切り捨てる
ことです。
神戸製鋼の不正は神戸製鋼自身が発表した事にまずは大きな意味があります。
すなわちそれは、
もう限界っす。
という、世の中への敗北宣言であるということ。
次はどんな大きな会社が敗北宣言するのか非常に楽しみですね。
自分の会社が敗北宣言をする前にさっさと抜け出したほうが精神衛生上良いでしょうね。