おじさんの、おじさんによる、おじさんのための会社

ホリエモンがフジテレビを買収しようとした時に、「会社は誰のものか」という議論が活発になりました。

 

従業員のもの

株主のもの

社会のもの

 

一番シンプルな理屈で言うと、株主のものであると私は思っていました。

 

しかし!

実際に企業に入社して働いてみると

「株主のものに見せかけて、会社にいるおじさんのため」

に会社は運営されているんだなぁと最近は考えを変えています。

 

 

 

 

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  • 1.雇用を守ることが大事

Microsoft を創業したビルゲイツwindows で儲けまくっていた時、市場で windows のソフトウェアに仕事を奪われた人が彼を批判したことがありました。

しかし彼が言ったのは windows を作るため、売るために創立された雇用の方が windows によって失われた雇用よりも大きい。

つまり労働者の総量は windows が発売された後の方が大きいと彼は反論しました。

 

要するに時代についていけなかった不要な人たちがただ切られただけだったわけです。

その至極当たり前の理屈はその当時の大衆にも受け入れられ、今ではパソコン自体を批判する人など全くいません

 

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この様な理屈で考えると大企業が存在意義として高々に訴えている雇用の創出と言うのはとても意義のあることです。

しかし日本の大企業が行っているのは、雇用の創出ではなく雇用の維持です。

雇用の維持と言うのは、今まで雇い入れた人達の首を切らないこと。

もしもその人が企業の利益に1円も貢献していない不要な人だとしても、給料を払い続けるために会社を維持すること。

これが雇用の維持です。

 

いわゆる窓際族とか相談役とか顧問とか全く仕事をしていない様なおじさん達を高給で雇い続ける。

 

前者ビルゲイツがやった様に時代を先取りし本当に人々から受け入れられる便利なものを開発販売し、世の中を豊かにしていくその過程で構造調整が起こる。これは雇用の創出の良例だと思います。

一方でいつまでたってもパソコンを使えない様なおじさん達に年収1000万2000万払って上の機嫌ばかり伺わせる仕事をさせている日本の大企業は本当に世の中に価値の有ることをしているでしょうか?

 

  • 2. 総花的な経営が良しとされる

一つ目と重なりますが、雇用を守ることと同時におじさん達のプライドも守らなければいけないのが今の大企業。

50歳60歳になっても役職がないと言う人はあってはならない。

 

そしてその上の人たちもそういうことがない様にさらにその上の人達にケアされてきていました。

どこの部門のどこの部署のどこの部のどこの科の人もその年齢に見合ったひとっぽく他の人に見られるように会社は頑張っています。

部長代行とか子会社に役職をいっぱい作ったりとか、そういったことをやってどうにかあぶれている不要な人たちの役職を作るんです。その人のプライドを傷つけないように気をつけます。

 

この結果どうなるかと言うと本当に力がある人力と力がない人の差は認識されず、若年層も会社の利益を1円でも上げるために頑張る必要なんてないと合理的に判断するのです。

そんなことよりも上の人たちに嫌われないことが大事。

そういう風に大企業は運営されています。

 

もう一つ大事なことは関係会社またはパートナーそういった人たちとの今まで築き上げてきたネットワークや既得権益を守ることです。

今まで頑張ってきたおじさん連合にご褒美を与えなければいけません。

日本の大企業は結局のところ、将来給料をあげるから若いときはとにかく頑張れ。という暗黙の了解の上に成り立っています。

だから、若い時にがむしゃらに働かせた今のおじさんたちに報いなければいけない。

それは今まで一緒に頑張ってきたおじさん世代の共通の認識ですし、彼らには仲間意識がある。

だから、大企業からなる子会社や関連会社連合はかなり真剣に不要な事業を存続させることを頑張っています。

古い技術、誰も見向きもしない様な商品サービスであったとしても、どうにかそれを守らなければいけない。

なぜならそれを今まで育ててきて今でもそのために働いているおじさんがたくさんいるから。

 

 

不幸なのはそのおじさんの下で働いている若い人たち

絶対に不要だとわかっているものを、おじさんの下に配属されたがために一生懸命売らなくてはいけない。

要するにおじさん達のために必要のないものを社会に対して売っているのです。

 

  • 4.定年までは。。。

最後に日本にある定年制度と言うのもこのおじさんたちのにとってとても大事な制度です。

今50歳のおじさんはあと15年会社が存続してくれればとりあえず ok。

自分の給料、退職金が大事。これ、おじさんでなくても誰でも当たり前ですよね。

 

もちろん企業年金の額とかそういったものは将来の企業の業績に大きくよるわけですが、おじさんは今の自分を守ることしかやったことがない人たちなので、そんな先のことを変えるなんてそんな考え微塵もありません。

 

これは別に部長と課長の中間管理職だけでなく、社長もそう思っている。

だから10年20年後を見る必要なんてないんです。それっぽいことを決算報告では発表しますが、ツッコミどころ満載だったり、他社と足並みを揃えた報告ばかりが目につくのはこういうこと。言うのは簡単だけどやってみろよ。と社長はいいたいのでしょうが、一番やるのが大変なのは人事系の部分なんです。

 

自分がいる時だけとりあえず潰さないそれが一番大事。

東芝で起きているのがまさにそれ。

粉飾決算の原因となっている売上の低下というのは、10年20年前の経営者がやったことの結果です。

その責任は今の経営者が取らなきゃいけない。

まさに日本の社会保障制度と同じ様におじさんおばさんのために若い人たちが全てそのツケを払う。見て見ぬふりをするということは将来的に全て若い人たちの負担になる。

 

  • 5.残念ながら会社の体質は変わらない。変えられない。

上にあげたことなんて大企業で働いている人はほぼ全員わかっているはずです。

しかし変わらない。いや、誰も変えられないんです。

 

基本的には社長以下経営陣がその会社の人事権を持っていて方針を決定していきます。

しかし、その社長は一個上の社長に選ばれているわけです。ここが民主主義と大きく違うところです。

民主主義の場合は首長市民県民によって投票で選ばれます。

しかし、自分で自分の会社の社長を選べないので、社長に物を申すのは不可能です。

株主の声を大きく反映することができれば少しは開いた会社の経営ができるはずですが、企業秘密等の理由で完全にオープンにすることはできません。

 

つまり一言で言うとどうしようもない(笑)

大企業は大企業のまま死んでゆくんです。

 

もしも東芝の経営陣を刷新して、会社を立て直すという方針をとったら、それは大したものです。

しかしそれはなさそうに見えます。

 

半導体事業の売却だけでも半年以上決定できない、医療事業出身の社長にそんな判断は簡単にできない。

ましてや東芝を再生させるために再生してくれそうな経営者を海外から呼んでくるのも難しいでしょう。

 

東芝の振り見て我がふり直せ、大企業」

 

まあ、無理でしょうけど。

 

  • --結論--

若い方々、そんな会社はすぐやめましょう。

我々には退職という切り札があります。

 

理屈で考えればわかることですが、そんな会社に長くいて、自分達がおじさんになった時にその仕組みが続いているとは到底思えませんよね?自分が定年まで大丈夫そうならそこに居続ける価値はあると思いますが、次の東芝になる可能性はとても高い。

 

長年同じことをし続けている会社は結構危ない。

考え方が凝り固まっていて、自分から東芝状態の回避に走るのは難しい。

 

例えばソニーがいつまでも人気企業であるのはそういう古い大企業的な考え方が比較的少ないと思われているからです。

例えば今の社長、平井さんはもともとソニーミュージックと言う子会社の社員でした。

子会社の社員を親会社の社長にする、そういった人事を日本の伝統的大企業がやりますか??

批判ばかりされていましたが、過去にはアメリカメディア出身のハワードさんを呼んでソニーの経営を立て直そうとしました。

 

ソニーが優秀なのは社長を選ぶ考え方が市場に近く合理的なところです。

武田薬品工業のウェバーさんも海外から呼ばれて、ポンッとCEOになってますね。

 

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こういった話を続けていくと最終的には志の高い経営者や企業理念が大事となります。

社長が、自分がいた間に少しでも会社を良くしたい 後世に残る様な業績を残したい。そういう風に考えている社長かどうかが大事ではないでしょうか。

 

志高く社会に対して何か自分が良いもの残したいそう強く考えている下の人の下で働いていた方がきっとストレスフリーに楽しく仕事ができるんではないでしょうか。

 

おじさんたちのために頑張っている若い方々、本気で考えないとあと10年もしたらあなたの市場価値はなくなります。あなたの隣にいるおじさんのように。

 

その前に飛び出すことをお勧めします。