日本とアメリカのミーティング資料の違いから推察する、日本人経営者の経営センス

アメリカと日本ではミーティングの進め方というか目的が違うように感じます。

 

そのミーティングのあり方の違いから両国の経営者の経営的なセンスの有無を推察してみます。

 

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日本企業でのミーティングの目的は

1.情報共有

2.分析結果共有

 

が主なものであるような気がします。

 

問題解決のためのディスカッションやアイディアの出し合いがアメリカ的なミーティングの目的であることと大分異なるようです。

 

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日本は反省や恥の文化が企業にも染み付いています。

 

失敗をしたら周囲に対して恥ずかしい、申し訳ないという気持ちでいっぱいになります。

上司に迷惑をかけた。上司はそのまた上の上司に迷惑をかけた。。。。

 

こういったループがあるので、絶対に失敗は許されない。というような企業文化を持っている会社も多いでしょう。

とりわけ、挑戦よりも現状維持を重んじるような大きな伝統的企業ではその色味は強くなるはず。

 

余計なことするな。的な発想ですね。

 

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分析的なミーティングにも価値はもちろんあります。

 

プロジェクトの日程が遅れたら、どれくらい遅れ、原因は何なのかを事細かに説明する。偉い人が参加する公式なミーティング = 情報共有 の場なので、ドキュメントも凝りに凝っています。

5枚程度の本スライドの裏に、膨大な数の補足スライドを準備し、何を聞かれても滞りなく答えられるようにしています。

ミーティングのための、ミーティングも数々開催され、レビューや資料の修正はもちろん、事前に役員のプロジェクトに対する心象なども余念なくチェックしておきます。

 

そうすることで、ミーティングを滞りなく済ませるのです。

 

その目的はただ一つ。

役員に悪い印象を与えないためです。

 

これらのことに膨大な時間をかけたからと言って、根本的にプロジェクトの進捗が加速することはありませんし、増してや企業の利益は1円も増やしません。

というか、高給サラリーマンの給料のみが積み上がるため、経費ばかりかかる赤字の仕事です。

 

 

しかし、伝統的日本の大企業ではこれはとても大事なことです。

 

なぜかというと、役員に気に入られなければ自分の出世などありえません。

部長、室長、課長、それぞれの評価基準は、こいつを上に上げたいと上に思ってもらえるかどうか。これのみ。

やりにくかったり、考え方が合わなければ、決して自分の部下として引っ張ることはありえない。

 

何度もいいますが、日本の優秀なサラリーマンはこういう事にとことん長けているひとが沢山います。

 

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さて、うえで、少し触れましたが、プロジェクトを成功させるためには、できれば、状況説明や原因分析ではなく、これからどうするの?という話を集中して詰めていきたいところです。

 

もちろん、分析の結果を反映した、既定路線のアクションプランは存在しますが、そのアクションプランもプロジェクトに効果的であるというよりは、役員に好印象な方が大事です。

 

こういった構図で開催されるミーティングで、あいつは良い!と言われるひとがドンドンと上に上がっていきます。

 

そしていずれは役員や社長になるんですね。

日本企業で生きているサラリーマンの鏡のような出世が待っているわけです。

 

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さて、話は変わって、経営者に求められるものはなんでしょうか?

経営者は株主や社会に対してちゃんと会社を経営するということを求められています。

 

[ちゃんと]、というのは、今期、四半期の業績だけではなく、将来、十年とか二十年先を見越した将来の成長分野への種まきも含まれます。

 

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しかし、経営者各人は、もともと優秀だった平サラリーマンであるわけです。

彼らの得意技は[上のひとに好感を持ってもらう資料作りや方針提示]です。

 

しかし、経営者となった今、彼らの上の人はもういません。

社会に対して価値を提供することが彼らの仕事になりました。

 

(一体、誰の顔色や好みを伺えば良いんだ。。。。)

そんな風に不安になるのも無理はありません。

残念ながら今まで彼らはそういった考え方で仕事をしてきませんでしたので。

 

こりゃ参りましたね。

 

彼らは社長になって、お金と肩書を手に入れ、ハイヤーとかファーストクラスとかで移動して、会社の金でゴルフしたり美味しいものを食べるのが目標だったので、まさか社長として未来の世界にどうやって価値を提供していく会社にするか、なんて考えていませんでしたもの。

 

でも安心してください。

あなたを社長にした、今の会長も、その上の名誉会長も、その上の顧問もみんなそんなもんです。

あなただけが社長不適格者なのではなく、みんな不適格者だったのです。でも、今までなんとかやってきました。

 

だって日本にはものづくりの技術やおもてなしの精神、勤勉で豊富な労働力があるんですから!!

(と言われ続けた20年間に日本の総GDPは大きくなっていなくて、SANYOとシャープとJAL東電が経営破産し、東芝が瀕死で、トヨタは水素を愛でていました。)

 

万が一会社が傾いても安心してください。

国や銀行が大きな会社は潰しません!

もし潰れても、あなたはちゃんと退職金や企業年金をもらって生活できます!

 

そんなことよりも、今までと違うことに挑戦して失敗し、社長をクビになるのだけは避けないと!せっかく今まで40年間も頑張ってきたんですから。

 

今までと一緒。

他社と一緒。

自分の任期中に業績を大きく下落させない。

これだけを考えましょう。

 

10年後に会社がどうなっていようと知ったこっちゃないですね!!!

 

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と、僕は日本企業の日本人社長にこんなひとが一人や二人、もしかしたらもっとたくさんいるのではないかと推察するのでした。

 

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