家具家電を処分しながら中古品とかひとの消費活動について考えた。結論:EXIT戦略ありきの消費が必要。
アメリカからの帰国に伴い家具家電のガレッジセールをやりました。
お陰様でほとんど売れまして、残すは小物のみ。
さて、今回の経験で感じたことを何回かに分けて書きます。
結論としては、とてもいい経験になり、是非ともみんながやってみるべきだ。と思いました。
とてもいい、というのはこの経験があったために、商売ってこういう感じなんだと疑似体験でき、更に消費者としても少し賢くなったと思うからです。
・日本は中古品に対する嫌悪感がある
まず、アメリカでは個人売買がとても盛んです。
今でこそ日本でもヤフオクやらメルカリなんかが流行っていますが、アメリカではガレッジセールという文化がそれこそ何十年も前から根付いています。
日本もバザーっていうのがありますが、あれは個人売買と言うよりは、寄付に近い気がします。
そういう文化もあってか、アメリカでは中古品の値段が日本と比べて高い。
だから結構いい値段で中古品が売れる。
車なんかがいい例で、新車を買うのは金持ちです。
でも中古車だってそんなに思い切り値崩れしていない。
アメリカは新品か中古かというAll or Nothingではなく、そのものがもつ機能が生きているかどうかにフォーカスしているように見えます。
なんで日本は新品にこだわるんですかね?
新車とか新築とかってめちゃくちゃ割高だってわかってるのに買う。
多分これは生命保険に入りまくる日本人の思考と同じだと思います。
日本人はとにかく安心安全が好きなので、
・中古を買って何かあったら嫌だ。
・新品なら安心
・中古の評価を自分の責任でするのが嫌だ。大変だ。
・そのれらの安心のために機能的には全く一緒のモノを3割増の値段で買うのもいとわない。
という感じでしょうか?
不動産は最近中古物件に対する鑑定書をつけることで市場の活性化を促しているそうですが、まだまだ新築注文一戸建て/新築マンションに拘る人がいるらしくびっくり。
(djooは23区内に中古で築浅の戸建てを買いました。新築時に比べて1.5割くらい安かったみたいです。)
・本だけは特別?図書館の影響か?
そんな中、古本だけはむか~しから中古市場が活発ですね。
多分、その昔は本は高価だったというのがあるでしょう。
また図書館という公の施設が普及しているのもその一因。
でも根本的には、本というのはその中に書かれている内容=機能が売り物であるので、買わずとも読めればOKという考え方が根付いている。
・所有欲がある。どう使うかではなく、何を持つか
昭和生まれくらいまでの日本人にはまだまだかなりの所有欲があるでしょう。
所有欲というのは使ってなくても持ってるだけでハッピー。
機能はしょぼいけど、ブランドを持ってる自分、ハッピー。
みたいな感覚です。
こういうブランド志向というか所有欲が日本人には強いので、なんでもかんでも良いものを求めようとする。ここで言う、良い物というのは良い物と世間一般に認められているものです。
隠れた名品とかはそういうひとにとっては無価値ですから。
・中古市場の不活性は新品市場の不活性に繋がる
さて、こんな感じで日本人のちょっと古い人には、中古はあんまりよくないという感覚が根付いている。
まあ実際に昔は中古品ってひどかったんでしょうが、今の時代はそんなことはなくて、車でも家でもスマホでも時計でも家電でも家具でも、状態の良い中古品が溢れている。
僕が思うのは、中古市場が不活性だと新品もあんまり売れないのでは。ということ。
なぜなら、古いものを買い換える時に、古いものがそれなりの値段で売れると思っていれば新しいものに買い替えやすくなる。
だから新しいものを買うときのハードルが下がる。
一回買って、壊れるまで使う。のではなく、その機能よりもより良い機能のものが出たら買い換える。ということが可能になる。
車だと下取りというのがありますが、それでも大した値段にならないですもんね。
1kmでも走ったら新品では無いんですから。
それでいきなり中古。
マンションもそうですよね。
新築は5,000万円でも、住んで1年たったら中古なので4400万円とかザラにあります。
たった1年で600万円ということは家賃50万円/月ってことですからね。
これだと一回新築買っちゃったら絶対に売れないですよね。
損切りできない投資家の心理ですね。
・中古品が低価格なのは新品の商品企画力にも影響がある
上の話にもつながっていますが、中古品があんまり売れない、市場が不活性だと、新品と言うのは新品というだけで価値があるかのように思われてしまいます。
となると、全く同じ商品でも新品のがもちろん価値が高いし、ほとんど変化のないあたら良いモデルとかも一世代前の中古と比較するとめちゃくちゃ高く売れる。
するとそういう商品を企画する側は、
大した差がなくても販売サイクルを早めて、どんどんと自分たちが過去に売ってきた商品を古いものにしよう。
とします。
となると、何が起きるかというと、本当に次のモデルにふさわしいような機能の向上や企画の見直しにお金や時間を費やしにくくなってしまう。
車なんかは4年とか5年のスパンで販売するというのが結構どこの国でも行われていますが、例えば10年くらい前に流行っていたガラケーなんて、半年に一度新しいモデルが出てましたね。
あんなことをやっているから、しょーもない機能追加とかデザインチェンジに開発コストが取られてしまって、大きな変化を見逃してしまう。
だって、携帯電話なんて最も日本人が得意とするような小さい精密な機械なのに、今やAppleとSamsungと中国メーカーしかいないでしょう。
こういう、大きな流れに乗り切れない。という弊害が企業側に生まれる。
それはもちろん中古市場の不活性だけが原因では無いけれど一因はあると思います。
・変わりつつある考え方
でも、最近のひと、というとおじさん発言ですが、はモノに興味がない。
僕は昔から自動車好きだったので自動車いいなぁ。と思っていましたが、大学の同窓生で投資銀行や商社で働いてるひとなんかは、ものなんかいらなくない?常々言っていました。
その感覚は昔の僕にはなかったのですが、今やっと彼らが言っていることがわかってきた。
つまりモノ自体には価値がなくなりつつある。
なんでかというと、革新的な商品とかって、モノ単体では達成できなくて、価値を提供する最終的な機械がたまたまそのものであるだけでいろんなものと絡み合ってる。
例を上げれば iPhoneがヒットしたのは、あのモノ自体が優れていたことに加えて、WebベースのメールやiTunes、Appstore等、そのものを中心とした一つのサービス提供商品群があるからこそ。
YoutubeやLineが使えないiPhoneなんていらないですよね。
だから結局今の人達は、ものはもの。でも得たいものはコンテンツだったりコミュニケーションツールだったりする。
(まあ、日本人のiPhone信仰は世界一ですからまだまだ所有欲というかブランド志向が抜けきっていないのは間違いないですが。)
車もそうですね。
カーシェアリングがあっさりと受け入れられた背景には、若い人が車なんかマジで無駄。と気付いたから。
一部のマニアなひととか金持ちが車は買えばいいじゃん。と考えるのが普通だから。
家もそうですね。
賃貸だろうが中古だろうが全く気にしないひとが沢山増えるはず。
新築戸建とか新築マンションなんてコスパ悪すぎ。ということにみんな気づくでしょう。
今や、ものはいかにシェアするか。がクールなんです。
いかに無駄なくシェアして、全員が買うよりも圧倒的に安く、利便性を損なわないこと。
これが大事。
中古品だって、要するに使用タイミングのシェアです。
最初のひとが70%のコストを払って最初の1年使える権利を買う。
んで次の人は30%のコストでその後の1年に使える権利を買う。
ものはひとからひとへ流れていくのが当たり前で、シェアされるのが当たり前。
自分が所有できるものなんて殆ど無い。
・ものを持たないことの価値を再確認。
断捨離ではないですが、ものをいかに持たないか。持つとしても必要なタイミングに必要な分だけ持つか。ということをスムーズにできるかが、消費する側に求められている能力だなぁと改めて実感。
ものが売りやすい世の中であってもやっぱりものを売るのは面倒くさい(笑)
値段を決めて、交渉をして、連絡をして、、、、、、
販売にかかる労力を考えると10ドルくらいにしかならないものとか捨ててしまったほうがいいのでは?と思います。
今回の教訓は、ものを買う時に、Exit戦略を立てる必要べきだ。ということです。
不動産とか株のトレードと同じで、
今このタイミングにこの値段でこのくらい買って、何年持って、いくらで処分する。
こういうことを全ての消費活動でしていく必要が求められている。
消費財や食品は若干色味が違いますが、家具家電、車、家、マンションなど、形あり、陳腐化していくモノはExit戦略をしっかりと立てないと、
使わない/場所取る
高かった
売るのが大変/処分にお金がかかる
というデメリットのオンパレード。
ものはなるべく持たずに、使う分だけレンタルしたり、シェアすべきです。
単純計算すると保有したほうが安いものでもその周りにあるたくさんのデメリットの可能性や面倒を考えてみてください。
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ちなみに、この考え方がちゃーんと進めば借金に対する抵抗も薄れていくはずです。
なぜかって?
一括でお金を払うデメリットまでものの購入は含んでいるんです。将来使わないかも知れないものに対して。
もしも使う分だけ使う時にお金を払えれば、その間、お金を運用することも可能です。
これは家計では応用辺ですが、企業活動では基本中の基本。