日本農業② -そもそも農業問題とは何か?-
アメリカで食べているお米の味と価格が日本で実現できないのはなぜか?という素朴な疑問から始まった農業に関するまとめの二回目です。
そもそも農業の問題とはなんなのでしょうか?
まずはじめに知っておかなくてはいけないのが、食糧問題と農業問題の違いです。
前者の食糧問題とは、主に発展途上国で発生している問題です。
農業への投資が少ない中で、人口増加と経済成長があるために食料の需要が増加するのですが、それに見合う供給が確保されていないために、食料価格が高騰する。
その結果、賃金を上げざるを得ない状況が発生し、経済停滞を引き起こすという問題です。
次に、農業問題。
これは食糧問題とは逆の状況。つまり、農業の生産性が高くなったがために、農産物価格が低下し、農業者の所得が停滞する。
しかし、農業から他の産業への資源(人や機械)の移転がスムーズに進まないという先進国が抱える問題です。
日本の農業が抱えているのは明らかに後者の農業問題でしょう。
これは一般的には構造調整と言われる問題であり、生産性の低い部門から経済資源を生産性の高い部門に移す調整がうまく行われていないという問題です。
さて、このように資源の移転が適切にスムーズに行われないことにより、農業従事者は2つの道を歩むことになります。
一つ目が、もっともっと農業の生産性を向上させて、大規模で薄利多売な農業を達成すること。
二つ目が政治に訴えかけること。要するに政治の力で農産物の価格を高く維持してもらおうという訴えです。
もうおわかりですね。
日本では、今後者の政治に訴えかけることによって国に農産物の価格決定権を委ね、高い価格で農産物が流通販売されているのです。
これは特にコメについて言えます。
「減反政策」と呼ばれる食糧管理制度により、日本の米価(ベイカと読むらしいです。)は高く維持され続けています。
それはすなわち、人が食べる食用米の生産を国主導で少なくすることで、米価を下げないようにする政策です。
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さて、私が農業問題に興味を持ったコメの価格に関してはすぐに理由がわかったわけであるが、次の疑問は、なぜ日本人はその高い米価のままで黙っているのか。もしくは他の国の安いコメを輸入することはなぜできないのか?という点です。
そこには、よく耳にする、一票の格差やTPP,関税撤廃、食料自給率などと関連する、国と農家と世界と貿易の問題があるようです。
次に続く。